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夢のマイホームを実現するために、間取りや設備・デザインなどこだわりたいポイントはたくさんありますよね。ただ、一方で「住まいの長期的な快適性やメンテナンスについてはあまり考えたことがない」という方も多いのではないでしょうか。
適切なメンテナンスを行うことで、住まいの快適性や安全性を維持できるだけでなく、資産価値の維持にもつながります。特に注文住宅はその機能性を維持することで高く売れるということもあるので、より重要性が高いと言えます。反対にメンテナンスを怠ると、思わぬトラブルや修繕コストの増大を招く可能性もあります。
とはいえ、いざ住宅を建てた後のメンテナンスについて考えようとすると「何から手をつけていいのかわからない」「正しい方法がわからない」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、住宅のメンテナンスについて、基礎知識から具体的なポイントまで、詳しく解説していきます。
注文住宅のメンテナンスの重要性
まず最初に、曖昧になりがちなメンテナンスの意義について、いくつかポイントを分けて説明します。
住宅の長寿命化
メンテナンスの重要なポイントとして最初に考えたいのが、住宅の長寿命化です。
定期的な点検や修繕を行うことで、早期劣化を防ぎ部材の寿命を最大限に伸ばすことができます。
特に、ガス設備やサッシ・屋根などの定期的な点検と補修は欠かせません。建物の改修や部品の交換も効果的でしょう。築年数が経った住宅でも断熱性の向上や設備の更新を行えば、省エネ性能を高めながら長期的な使用が可能になります。
さらに清掃や除雪・植栽管理などを適切に行うことで、建物の劣化を抑制することにつながります。
快適性と安全性の維持
住宅のメンテナンスは、快適性と安全性を維持する上で非常に重要な役割を果たします。
まず、定期的なメンテナンスを行うことで、住まいの機能性や居住性を高い状態で保つことができます。
例えば、エアコンやボイラーなどの設備機器を適切にメンテナンスすることで故障や不具合を未然に防ぎ、快適な室内環境を維持することができるでしょう。
また、床や壁・天井などの内装材のクリーニングや補修を行うことで、美観を保ち居心地の良い空間を作り出すことができます。
さらに、メンテナンスは住まいの安全性を確保する上でも欠かせません。
例えば、定期的な点検によって電気配線やガス管などの劣化や損傷を早期に発見し修繕することで、火災や事故のリスクを大幅に軽減できます。
また、屋根や外壁・基礎などの構造部分のチェックを行い、必要に応じて補強や修繕を行うことで、住まいの耐久性を高め地震や台風などの自然災害に対する安全性を向上させることができるのです。
さらに、適切なメンテナンスは、シックハウス症候群などの健康被害を防ぐ上でも重要です。
換気設備の点検や清掃、害虫や害獣の侵入防止対策などを行うことで、室内の空気質を維持し居住者の健康を守ることができます。
トラブル防止
住宅のメンテナンスを行うことで、トラブルの発生を防ぐことができます。
例えば、屋根の点検を定期的に行うことで、小さなひび割れや破損を早期に修理できます。これにより、雨水が侵入して大規模な水漏れや構造的な損傷を引き起こすことを防げます。
また電気設備の点検を定期的に行うことで、火災のリスクを減らすことができます。配線の
劣化や不具合を早期に発見し修理することで、重大な事故を未然に防げます。
このように定期的なメンテナンスは、早期に小さな問題を発見し、大きなトラブルに発展する前に対処するための効果的な手段です。
注文住宅の外装メンテナンス
メンテナンスの重要性がわかったところで、具体的な方法についても考えていきましょう。
ここでは外装メンテナンスの具体的な方法を説明します。
屋根や外壁の点検と清掃
外気により特に痛むのが屋根や外壁です。特に普段上から見ることのできない、屋根の定期点検は欠かせません。
屋根材の状態を確認し、割れや剥がれ・腐食などの兆候がないかを確認します。また屋根の傾きや排水経路にも注意し、滞水による劣化を防ぐ必要があります。
外壁の点検では、材質に応じて適切な点検を行います。
タイル外壁であれば、タイルの浮きや欠損がないかを確認し必要に応じて補修を行います。塗装外壁の場合は、塗膜の状態や剥がれの有無を確認し適切に再塗装を検討する必要があるでしょう。
さらに勿論、清掃も重要です。屋根の場合、藻や苔の付着を定期的に除去することで劣化を防ぐことができます。外壁は汚れの蓄積を防ぐため定期的な洗浄が必要不可欠です。
雨樋や排水設備の掃除と補修
雨樋も定期的な掃除が必要です。落ち葉やがれき類の蓄積により雨樋が詰まってしまうと、雨水の流れが悪くなり水漏れや外壁の汚れなどの問題につながります。
雨樋の材質によっては、経年劣化により腐食や変形が起きる可能性があります。
こうした不具合が見つかった場合は、迅速な補修や部品交換を行うことが必要です。
適切な補修を行うことによって、建物の水害リスクを低減できます。
排水設備の管理は、玄関周りや外構部分の排水溝およびその接続部分を定期的に掃除し、詰まりがないことを確認する必要があります。排水経路に障害物がある状態が続くと、雨水の滞留により外壁の劣化など深刻な被害につながる可能性があります。
また排水設備の劣化にも要注意です。ドレン管の破損や排水溝の変形などの不具合が見つかった場合は、速やかに修繕や交換を行いましょう。
門や塀・ウッドデッキ
門や塀の外構部は、建物の顔としての役割を担うため外観管理が重要になります。
定期的な清掃や塗装の補修を行うことで、建物と調和した美しい外観を保つことができます。
亀裂や破損の点検も欠かせません。早期発見と適切な補修により安全性の確保につなげることができます。
ウッドデッキは木材の特性上劣化しやすい部分ですが、適切なメンテナンスを行うことで長期的な利用が可能になります。
清掃・防腐剤の再塗布・緩んだ部分の補修など定期的な手入れが重要です。
門扉や塀の金属部品・ウッドデッキの金具類など、取り付け部分の点検・補修も不可欠です。
経年劣化による緩みや錆びの発生などがないよう、定期的な点検と手入れが必要です。
外構部分のメンテナンスを行う際は、植栽の管理も同時に行うとよいでしょう。
門周りや塀際の剪定・ウッドデッキ周りの除草など、植栽管理を行うことで全体的に美しい外観を保つことができます。
注文住宅の内装のメンテナンス
続いて、内装メンテナンスの具体的な方法や重要性について説明します。
床や壁・天井
床のメンテナンスとしては、特にフローリングの手入れが欠かせません。
定期的な掃除やワックスがけにより、フローリングの輝きを保ち経年劣化を抑えることができます。キズや変色・剥がれなどが見られる場合は、部分的な補修を行うことで長期的に維持できるようになります。
壁面は、生活の中で付着する汚れやホコリを定期的に取り除くことで美観を保ちリフォームの必要性を低減することができます。特にキッチンや洗面所など、汚れが蓄積しやすい場所での清掃は重要です。
天井は、汚れやカビの発生を防ぐことが必要です。天井の材質に応じた清掃方法を行い、快適な室内環境を維持します。
ドアや窓
ドアは開閉が頻繁に行われるため、スムーズな動作を維持することが重要です。
ヒンジのきしみやドアの開閉不良がないかを定期的に確認し、必要に応じてオイルの補給や調整を行うことで長期的に保つことが可能です。
ドア表面の汚れやキズについても、清掃や補修を適切に行う必要があります。
窓のメンテナンスは、窓ガラスの清掃は欠かせません。
ホコリや汚れが付着すると明るさや視界が損なわれてしまいます。
開閉部分についても、スムーズな動作を保つため定期的な点検と調整が必要です。
窓枠の塗装状態も確認し、必要に応じて補修するようにします。
さらにドアと窓の間の隙間にも注意を払う必要があります。室内への熱の逃げ出しや、外気の進入を防ぐため適切な防風・防音対策をおこなうことが重要です。気密性の維持により、居住性の向上と省エネ性の確保にもつなげられます。
キッチンや浴室・トイレ
水回りの手入れは日常的に湿気や汚れにさらされるため、適切なメンテナンスを行わないと早期劣化や故障につながる可能性があります。
キッチンの場合は、作業台やシンク・収納扉は特に定期的な清掃と点検が不可欠です。
定期的な清掃で清潔な状態を維持します。
ヒンジや引き出しレールの動作確認・水栓金具の水漏れチェックなど、設備の状態を確認し必要に応じて修理や部品交換を行うことが重要です。
浴室については、タイルや洗面台・浴槽の清掃が特に重要です。カビの発生を防ぐため、石鹸カスや水アカのこまめな除去が欠かせません。
シャワーや洗面水栓の動作確認・排水溝のつまり点検なども定期的に行う必要があります。
トイレについても同様に、便器やタンク・便座などの清掃が不可欠です。
またフラッシュバルブの動作点検や、タンクの水漏れ確認なども定期的に実施する必要があります。
注文住宅の設備機器のメンテナンス
続いて、主な設備機器のメンテナンスについても見ていきましょう。
空調設備
エアコンのフィルターは、汚れやホコリが溜まると空気の取り込みが悪くなり設備の効率が下がってしまいます。定期的にフィルターを洗浄することで、清浄な空気供給が可能となります。さらにフィルターの交換を適切に行うことで、長期的に良好な状態を保つことができるでしょう。
室外機は熱交換器部分に汚れが付着すると、冷暖房効率が低下してしまいます。定期的な水洗いやブラシ掃除によって、室外機の熱交換性能を最適な状態に保てるでしょう。
配管の点検も重要です。冷媒漏れや詰まりがないよう配管接続部分の点検を行い、必要に応じて補修を行うことが肝心です。これにより空調機器の性能低下を未然に防ぐことができます。
なおガス式空調設備の場合、専門業者による定期点検が必要不可欠です。
燃焼状態の確認や安全装置の動作確認など、専門的な知識と技術を要するため定期的な点検・調整が欠かせません。
給湯器や浄化槽
給湯器は、熱交換器部分の水垢やサビの蓄積を取り除くことで効率的な熱交換が維持できます。また安全装置の動作確認や給湯配管の漏水点検なども行う必要があります。
メンテナンスにより安全性と省エネ性を高いレベルで保つことができるでしょう。
浄化槽は、生物反応を利用して汚水を処理する設備であるため適切な管理が重要です。
定期的な汚泥の引き抜きや槽内の清掃を行うことで、処理性能を維持できます。
曝気装置やポンプ類の点検・交換も欠かせません。これらのメンテナンスにより悪臭の発生や水質の悪化を防ぐことができます。
また給湯器や浄化槽には、法定の定期点検が義務付けられているものもあります。
専門業者による点検を適切なタイミングで実施することで、設備の安全性と機能性を長期的に確保することができるでしょう。
電気系統や配管
電気パネルやスイッチの状態を確認し、必要に応じて清掃や締め付け調整を行いましょう。
配線の損傷や接続不良がないかチェックし、問題がある場合は速やかに修理します。
絶縁性能の確認や接地状態の確認なども重要です。機器の消費電力や電圧・電流の測定を行い異常がないか監視することも重要ですので、覚えておきましょう。
配管システムは定期的な目視点検を行い、配管の腐食・ガス漏れ・詰まりがないかを確認します。ゆるみやひび割れがある場合は、速やかに修理や補修を行う必要があります。
バルブやストレーナーなどの付属部品の動作確認も重要です。配管内の圧力や流量を測定し、異常がないか定期的なモニタリングをされることをお勧めします。
注文住宅のメンテナンスにかかる費用
住宅のメンテナンスにかかる費用は、様々な要因によって変わってきます。一概に金額を示すのは難しいですが、主な費用についてまとめてみました。
定期的なメンテナンス費用の目安
一般的に年間のメンテナンス費用は住宅の築年数や構造・設備の状態などによって大きく変動しますが、住宅の購入価格の1%程度が目安と言われています。
例えば、800万円の注文住宅であれば、年間約8万円程度のメンテナンス費用が必要となるでしょう。
これはあくまでも一般的な目安であり、実際に様々な要因によってメンテナンス費用が大きく変わってきます。
大規模修繕
まず、マンションの大規模修繕の例を考えてみます。
一般的なマンションの大規模修繕には、外壁の補修や塗装、防水工事、共用部分の改修などが含まれます。これらの修繕にかかる費用は、1戸あたりで約100万円から300万円が相場となります。
例えば、50戸のマンションでは総費用が5000万円から1億5000万円に達することがあります。
次に、戸建て住宅の場合です。
戸建て住宅の大規模修繕には、屋根の葺き替えや外壁の再塗装・基礎の補強・内部のリフォームなどが含まれます。これらの修繕の総費用は、住宅の規模や修繕内容により異なりますが、1000万円から3000万円程度が一般的です。特に、古い住宅や劣化が進んでいる場合は、修繕費用がさらに高額になることがあります。
また、オフィスビルや商業施設などの大規模修繕も高額になります。これらの建物では、エレベーターの交換や空調設備の更新、大規模な内装工事などが必要になることが多く、総費用は数億円に達することも珍しくありません。特に、耐震補強工事や最新の省エネ設備の導入などを行う場合、費用はさらに増加します。
まとめ
ここまで注文住宅のメンテナンスについて、重要性から具体的な方法、更にビルダーによるアフターメンテナンスに至るまで説明してきました。
注文住宅のメンテナンスは、快適で安全な住まいを長期にわたって守るための鍵です。定期的な点検と適切な処置を行うことで、設備の不具合や構造上の問題を未然に防ぎ、居住性や耐久性を高めることができます。
さらにメンテナンスの重要性は、住まいが完成した後に初めて実感するものだけではありません。注文住宅を計画する段階から、メンテナンスの視点を持つことが大切なのです。
間取りや設備・デザインを検討する際に、それらがメンテナンスしやすい仕様になっているかビルダーに確認してみましょう。また、ビルダー選びの際にはアフターサービスの内容や、メンテナンスサポートの充実度も加味して選定することをお勧めします。
住宅が完成したら、メンテナンスを習慣化することが大切です。
点検のスケジュールを立て、必要な処置を計画的に実行していくことで、住まいの価値を守り快適な生活を維持していきましょう。