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新築注文住宅を建てる際、外構の費用も見落としてはいけない重要な要素です。
外構は住宅の顔とも言える部分であり家の印象を大きく左右しますが、費用感の見積りが意外と難しく、予算オーバーになってしまうケースも少なくありません。
本記事では、注文住宅の外構費用の相場や、コストを抑えるためのポイントについて解説していきます。
これから家を建てる予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。
外構工事とは?基本を知る
まず外構とは、住宅の外側に位置する空間や設備のことを指します。
具体的には、門扉や塀・アプローチ・カーポート・ガーデニングなどが含まれます。
そんな外構の工事は、建物の価値を高め、居住環境の快適性と景観の向上が目的となることが多いです。
外構工事の概要とその重要性
一口に外構工事といっても、その種類は地盤造成・外部動線の設置・植栽工事・フェンスやゲートの設置・駐車場や広場の設置・照明や排水設備の設置など多岐にわたります。
慎重な設計と高度な施工技術が求められる分野であり、建物の価値を最大限に引き上げる役割を担っているといえます。
外構工事の一般的な流れ
外構工事を始める場合、まず基礎工事として地盤改良や造成が行われます。これによりしっかりとした地盤が整備され、後続の工事の基礎が作られます。
次に外部動線の設置をします。アプローチ・車寄せ・歩道などを設け、建物への出入りをスムーズにします。さらに駐車場や広場なども設置されます。
緑化も重要な項目です。植栽計画に基づき樹木を植え、芝生を敷設したりして潤いのある空間をつくります。
フェンスやゲートなどの設置によりプライバシーを確保し、防犯対策も施します。
他にも照明設備や排水設備の設置や、高級な外構では池・噴水・パーゴラなどの園芸的な要素が加えられることもあります。
外構費用の相場と予算の立て方
外構工事の予算は工事内容により大きく異なります。
早期に具体的なプランと概算費用を見積り、余裕を持った予算を立てることが重要です。
費用相場
一般的な戸建て住宅の場合、外構工事費用は建物本体工事費の10~20%程度が目安とされています。
また、シンプルな外構なら30万円前後からですが、高級な造園を含むとおよそ300万円以上が一般的でしょう。
なお、具体的な金額は敷地の広さ・工事の内容・使用する材料などにより大きく変動しますので、あくまでも参考の金額として捉えていただければ幸いです。
予算の立て方
まず工事内容を明確にすることが重要です。必要最低限の工事なのかこだわりのデザインを取り入れるのか、池や噴水などの造園もするのかによって費用は大きく変わってきます。
次に面積に応じた単価を立てるのがポイントです。一般的に坪単価5万円前後が標準的ですが、簡易な外構であれば3万円程度、高級な外構であれば10万円を超えることもあります。
外構工事と並行して行う工事もあり、それらを含めて総合的に予算を組む必要があります。例えば造成工事・植栽工事・フェンス工事などは、個別に業者を選ぶケースもあります。
コストを抑える外構設計の工夫
次のような工夫で外構工事のコストを大幅に下げることができます。
シンプルなデザインの選択
過剰な装飾や複雑なデザインは、多くの工事が必要となり莫大な費用がかかってしまいます。
池や噴水・パーゴラなどの造園的な要素を取り入れると、設計・施工ともに高額な費用が必要になります。
シンプルな外構であれば必要最低限の工事で済むため、大幅な費用削減が可能になります。
またシンプルな外構は使用する資材を安価なものに抑えられます。高級な石材やタイル・レンガなどの使用を避け、コンクリートやブロック・平板舗装といった安価な材料を選択することで材料費を大幅に抑えられるのです。
施工面でもシンプルな外構のほうが工数が少なくて済むため、人件費の節約にもつながります。複雑な造園工事を行えばかなりの手間と人件費がかさみます。
さらにデザインがシンプルであれば、将来の維持管理費用も抑えられます。池や噴水は継続的な手入れが必要で費用もかさむ傾向にあります。
低維持費の植栽や素材の選択
植栽に関しては、手入れが手間がかかり維持費用も高くつく樹種は避ける必要があります。高価で手入れが大変な落葉樹や常緑樹は避け、低木や地被植物・芝生も最小限に抑えることが賢明です。これらの植物は剪定や手入れが簡単で、水やりや肥料の費用も抑えることができます。
素材選択では耐久性が高く手入れが不要な素材を選ぶことで、将来の維持コストを最小限に抑えられます。コンクリート・ブロック・レンガなどは耐候性に優れ、ほとんど手入れが不要です。高価な石材は避け、安価で丈夫な素材を使うことが大事です。
塗装を必要としない素材を選ぶことも大切なポイントです。木材やフェンスなどは、定期的に塗り替えが必要になり費用がかさみます。そういった手間暇のかかる素材は避け、メンテナンスフリーの素材を選ぶことをお勧めします。
外構工事での費用削減テクニック
次のような取り組みは、費用削減の非常に有効なテクニックです。
DIYによるコスト削減
DIYを活用することで最も大きな削減効果が得られるのは、労務費の削減です。
専門業者に工事を依頼するよりも自分で施工を行えば、人件費分の大幅なコストカットが可能になります。
特にフェンス・ゲートの設置、植栽工事・簡易な舗装工事などはDIYで十分に対応できる工程が多いです。
加えて材料費の抑制にもメリットがあります。業者を通じて資材を調達するよりも、自ら材料を選定し購入することでコストダウンを図れます。
大手ホームセンターなどで、必要な資材をまとめて安価に調達できるのもメリットです。
複数の見積もりを取ること
複数の見積もりを取ることは、費用削減の観点で重要性が非常に大きいです。
複数の業者から見積もりを取ることで、適正な工事費用の相場を把握することができます。単一の業者の見積もりだけでは、その業者の価格設定に左右されてしまう可能性があります。
複数の見積もりを比較することで、市場価格を正確に把握し必要以上の費用を支払うことを避けられるのです。
業者間の価格競争が促されると、結果として適正な価格での施工を実現できる可能性が高まります。
複数の業者が見積もりを競う中で、無駄な経費を削減し効率的な工事を行う工夫がされるでしょう。結果的に外構工事の総費用を抑えることができるのです。
業者の技術力や施工品質、アフターサービスなどの違いも比較できるという利点があります。
単一業者では分からない情報も、複数見積もりを取ることで明らかになります。
工事内容に最適な業者を選択できるため、無駄な手直し工事などを避けられ長期的な維持管理コストの削減にもつながります。
外構工事費用を左右する要因
次のように立地条件・外構デザイン・素材選択といった様々な要素が外構工事費用を大きく左右します。
土地の条件と工事の難易度
最も大きな影響を及ぼすのが、敷地の広さや地形といった立地条件です。
広大な敷地では基盤整備や動線計画・植栽工事などの多くの工事が必要となるため、当然工事費用も高額になります。
また起伏のある地形では、造成工事や擁壁設置などの複雑な工事が必要となり費用がかさみます。
選ぶ素材とデザインの影響
使用する素材選択に関しては、高級な石材やタイル・煉瓦などの高価な素材を採用すれば材料費そのものが大幅に増大してしまいます。
一方コンクリートやレンガ・平板舗装といった比較的リーズナブルな素材を選択すれば、大幅なコストダウンが可能となります。
高級な素材は美観性は高いものの、同じ施工面積あたりの工事費が跳ね上がるため予算オーバーのリスクが高まります。予算に応じてバランスの取れた素材選択が重要になります。
デザイン面でも、外構のスケールやデザイン性が費用に大きな影響を及ぼします。
装飾性の高い造園的なデザインを採用すれば、設計料はもちろん施工にも多くの工数がかかるため大幅な費用増につながります。
シンプルで機能的なデザインであれば必要最小限の工事で済み、大幅な費用削減が見込めます。
素材選択とデザイン性は外構工事費用を大きく左右する要因となるため、予算との兼ね合いを慎重に検討し最適なプランを立てることが重要になります。
外構工事のための資金調達方法
外構工事のための資金調達方法には、次のようにいくつかの選択肢があります。
住宅ローンとの組み合わせ
資金調達方法として、住宅ローンと組み合わせることは有効な選択肢です。
住宅ローンには、本体工事と外構工事の費用を併せて借り入れることができるというメリットがあります。
自宅の購入や新築・増改築工事と統合して外構工事費用をまとめて借りられるため、手続きも簡単で融資を別途検討する必要がありません。
また住宅ローンは長期の固定金利で借入れができるため、借入額に応じた無理のない返済計画を立てやすいという利点もあります。外構工事費用分を含めた適正な借入額を設定しローン返済の見通しを立てられます。
さらに税制優遇措置も適用されます。借入金利の一部が所得税の控除対象となるなど、長期的なコストを抑えられる点も魅力的です。
一方で住宅ローンは一定の審査基準がありますので、物件の価格や自己資金・返済能力などローン申込時の条件を十分に満たす必要があります。審査に通らないと外構工事費用の調達ができないリスクがあることも考慮が必要です。
補助金や助成金の活用
補助金や助成金の活用も大変有効な資金調達方法です。
自治体によっては、外構工事の費用の一部を補助してくれるケースがあります。
これらの補助金制度を活用すれば、自己負担を大幅に抑えられるというメリットがあります。
補助金の支給対象や金額・申請方法などは自治体によって異なるため、事前に十分な情報収集が必要となります。
また外構工事に関連する設備の導入に対して、国や自治体から助成金が支給されることもあります。
例えば省エネ性の高い照明機器の設置費用や、雨水利用システムの導入費用などに対して助成が受けられる場合があります。
これらの助成金制度を活用すれば、外構工事全体の費用を大幅に抑えられるでしょう。
環境に配慮した外構工事を行う際にも、補助金や助成金の対象となる可能性があります。
太陽光発電システムの設置・雨水貯留槽の設置など、省エネや環境保全に寄与する取り組みに対しては支援制度が用意されていることがあります。
これらの方法を上手く活用することで、外構工事の資金調達をより効率的に行えるはずです。
まとめ
ここまで、外構工事の概要や費用の考え方について説明してきました。
注文住宅の外構費用は、計画段階でしっかりと把握し、予算内で最適な選択をすることが非常に重要です。
デザインや素材、施工方法など、様々な要素を総合的に検討し、自分のライフスタイルに合った外構を実現しましょう。
本記事が、これから家を建てる方の外構計画の一助となれば幸いです。