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注文住宅を建てようと思ったとき「いつから計画を始めるべきか」 「いつが建築に最適な時期なのか」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
適切な時期に建築を行うことで、スムーズな工事の進行や、予算内での完成を目指すことができます。反対に時期選びを誤ると、工期の遅れや追加費用の発生・品質の低下など、様々な問題が生じる可能性があります。せっかくの夢のマイホームが、満足のいくものにならない要因にもなり得ます。
そこでこの記事では、注文住宅の建築時期の選び方について、詳しく解説していきます。
注文住宅を建てるのに向いている時期は?
注文住宅の建築に適した時期を考えるにあたり、以下の3つのポイントについて説明します。
- 住宅建設と季節の関係
- ライフステージに合わせた建築時期選び
- 経済状況や住宅市場の動向
1.住宅建設と季節の関係
一般的には春から夏にかけての季節が適していると言われています。
この時期は気候が穏やかで、建築工事を進めやすい環境が整っています。雨季や寒冬を避けられるため、工期の遅延や工事の質の低下を防ぐことができます。
2.ライフステージに合わせた建築時期選び
個人の事情や生活スタイルも検討すべき要素です。引っ越しや子育てのタイミングなど、住宅計画と自身のライフステージをうまく組み合わせることが重要です。
新居に住み始める時期が家族にとって最適であれば、その時期に合わせて注文住宅の着工を検討するのが賢明でしょう。
3.経済状況や住宅市場の動向
経済状況も大きな影響を与えます。景気が安定しており住宅ローンの金利が低水準にある時期が建築に適しています。
特に新築住宅の需要が高まる時期は、資材や労働力の価格が上昇する傾向にあるため建築コストの抑制が難しくなります。
注文住宅の建築時期と気象条件
注文住宅の建築時期と気象条件は密接に関係しています。建築工事を順調に進めるためには、適切な気候条件が重要となります。
雨季や積雪期は避けたい
雨季については、大雨による工事の中断や資材の浸水・外壁工事の遅延などの様々な問題が発生しやすくなります。特にコンクリートの養生や屋根工事・外壁塗装などの雨に左右されやすい工程では、工期の遅れや手戻りが生じる恐れがあります。そのため梅雨時期や台風シーズンは避けて工事を進めるのが賢明です。
積雪地域では、寒冷な気候が建築作業に大きな障害となります。コンクリートの固化や養生・外壁の施工・屋根工事など、低温環境では作業効率が大幅に低下します。
積雪自体が重機の移動や資材の運搬を困難にするなど、工事全体の進捗に悪影響を及ぼします。したがって冬季の積雪時期は避け、春から夏にかけての建築を計画するのがよいでしょう。
気温や湿度が建材や施工に与える影響
気温の面では、極端な高温や低温が問題となります。
高温時期は、コンクリートの養生や接着剤の硬化が早すぎて品質が低下する可能性があります。また屋外での作業効率も悪化します。低温時期は、コンクリートの凍結や硬化不足・接着剤の固化不良などのリスクが高まり安全性の確保が困難になります。
湿度についても同様の影響がみられます。
高湿度時期は木材の膨張や塗料の乾燥不良・カビの発生などの建材の品質低下につながります。作業効率の悪化も避けられません。低湿度時期は木材の収縮や塗料の亀裂といった劣化が加速される他、静電気の発生で作業効率が阻害される可能性があります。
これらの気象条件に合わせて、コンクリートの配合調整・木材の適切な乾燥管理・接着剤の選定など様々な対策が必要となります。また、作業環境の管理にも十分配慮しなければなりません。
注文住宅の建築時期と住宅ローンの関係
建築時期によって住宅ローンの金利や借入条件が大きく変わってくるため、両者を十分に検討する必要があります。
一般的に景気が良好で金融政策が緩和的な時期は、住宅ローンの金利が低水準に抑えられる傾向にあると言われています。一方で景気が悪化し金融政策が引き締められると、金利が上昇する可能性があります。住宅ローンの金利動向を見極め、建築時期を検討することが重要になるでしょう。
金利水準に加えて、借入条件面でも建築時期によって違いが生じます。住宅需要が高まる時期は、融資額の上限が低く設定される傾向にあります。また、需要が低迷する時期は、融資上限が緩和されることもありますので頭に入れておきましょう。
一部の地域では新築住宅に対する補助金制度なども設けられていることから、建築時期によってはそうした制度を活用できる可能性があります。こうした公的支援策も、建築時期の検討に当たって考慮すべき要素の1つと言えるでしょう。
住宅ローン減税など税制優遇措置
建築を行う際には、様々な税制優遇措置を活用できる可能性があります。これらの制度を上手に活用することで、大幅なコスト削減が期待できます。
中でも住宅ローン減税制度は代表的な優遇措置です。住宅ローンの利子額の一定割合について、所得税から控除を受けられるというものです。控除率や限度額などは年度によって変更されるため最新の情報を確認する必要がありますが、大きな節税効果が期待できます。
住宅取得等に係る贈与税の非課税制度も重要です。一定の要件を満たせば、親から子への住宅取得資金の贈与について贈与税が非課税となります。資金調達の選択肢が広がるメリットがあります。
省エネ性能の高い住宅の新築に対しては、補助金や税額控除の制度が設けられています。エネルギー消費の抑制に役立つ取り組みを支援するものです。建築時期によって活用できる制度が異なるため、随時情報収集が必要です。
返済スケジュールと建築時期の調整
返済スケジュールと建築時期を調整することは、長期的な財務管理の観点から重要になります。
建築時期の検討にあたっては、将来の返済能力を見据えることが不可欠です。収入が安定する時期に引っ越しを行えば、ローン返済の負担感が相対的に軽減されます。
住宅ローンの返済期間と建物の耐用年数のバランスの確認も重要です。ローンの返済が完了する前に建物の大規模修繕が必要となった場合、更なる資金負担が生じる可能性があります。建築時期を検討する際は、建物の維持管理計画とローン返済スケジュールを両立させる視点が不可欠です。
生活設計の変化にも配慮する必要があります。家計状況が大きく変わる時期を見据えて、建築時期とローン返済計画を組み立てることが重要です。
注文住宅の建築時期と引っ越し
新居への引っ越しは、住宅の完成とそれに続く引き渡しのタイミングに合わせて行うことが一般的です。建築工事の進捗状況を把握し、引っ越しをスムーズに行う準備をすることが重要となります。建築工程の進捗に注意しながら、引っ越しの最適な時期を見極める必要があります。引っ越し業者の手配・新旧住居の引き渡し・引き受けの日程調整など、引っ越しの準備を計画的に進めることが大切です。
完成時期は引っ越しシーズンを外したい
引っ越しは一般的に3月から4月にかけて需要が高まるため、この時期に新居の引き渡しを受けると混雑や人手不足・価格高騰などのリスクが高まります。
夏休みや年末年始といった繁忙期を外せば、引っ越し業者の確保や作業がスムーズに行えるでしょう。また子供の転校などのタイミングにも配慮できるでしょう。
引っ越しシーズンをずらすことで、関連の各種サービスの負荷も分散できます。家電や家具の配送・インターネット回線の設置など引っ越しに必要な手続きも比較的スムーズに進められる可能性があります。
住宅取得の各種手続きや家財の移動なども、繁忙期を外せば混雑を回避できます。税務手続きや保険加入・自治体への届け出など、タイミングを選べば効率的に進められるでしょう。
引っ越し準備と建築工事を並行するコツ
まず工事の進捗状況を見極めながら、引っ越し作業に支障が出ないよう余裕を持った計画を立てることが肝心です。工事の遅延リスクを考慮し引っ越しのタイミングに余裕を持たせましょう。
段階的に引っ越し作業を行うこともコツと言えます。家電や不要な荷物から先に移動し、徐々に引っ越しを進めていくことで作業の分散化が図れるはずです。新居の準備と並行して旧居の整理も着々と進めていくことで、引っ越し当日の混乱を避けられます。
各種手続きの事前準備も重要でしょう。転居に関わる行政手続きや保険加入やユーティリティの切り替えなどは、事前に済ませておくと引っ越し当日がスムーズです。
引っ越し業者の手配も早めに行い、確実な予約を取っておくことをおすすめします。
何よりも、工事関係者と引っ越し業者との連絡調整を密に行うことが大切です。お互いの作業スケジュールを共有し、引っ越し当日に向けて細部まで打ち合わせておくことで混乱を最小限に抑えられるでしょう。
注文住宅の建築時期と設備機器
設備機器も注文住宅の建築時期に大きく影響を受けます。寒冷地では暖房設備が重要になりますが、温暖地では冷房機能が重視されるといった具合です。
当然、建築時期が季節によって異なれば、必要とされる設備機能も変わってきます。夏季の完成であれば高効率の冷房システムを選定するのが適切でしょう。
最新設備の発売時期と導入時期
設備機器の最新モデルは春先に発売されることが多いです。そのため夏から秋にかけての建築計画であれば、最新設備を取り入れられる可能性が高くなるでしょう。
なお最新設備の導入には注意も必要です。発売直後は需要が集中するため、調達やメーカーサポートの面で課題が生じる可能性があります。新製品のデバッグ期間を経てから導入するのが無難でしょう。
最新設備を導入せず、安定性と実績のある前世代機種を選ぶこともお勧めします。
注文住宅の建築時期と材料費の関係
一般的な傾向として、住宅需要が高まる時期は建築資材やエネルギー価格が高騰する傾向にあります。春から夏にかけては住宅着工が増加するため、木材や鉄鋼・コンクリートなどの建材価格が上昇しやすくなります。同時に暖房や冷房のための光熱費も、需要増加に伴い値上がりする可能性があります。
また住宅需要が低迷する時期では、建設関連業界の競争が激しくなりコストカットにつながることも。景気後退期では住宅着工が減少するため、建設業者が受注確保に躍起となり建材価格の値引きが進む傾向もあることは考慮しておいた方が良いでしょう。
さらに地域的な特性もあり、積雪寒冷地域では冬季の資材調達が難しく運送コストがかさむことから材料費が高くなる可能性があります。なお、気候の穏やかな地域では、通年で安定した材料調達が可能となりコストも抑えられる傾向にあります。
為替レートが輸入建材に与える影響
為替レートが円安に推移した場合、輸入建材の価格が上昇する傾向にあります。代表的なものとしては、鉄鋼製品やアルミ・ガラス・タイルなどが挙げられます。これらは海外製品に依存しているため、輸入コストの増大が販売価格に転嫁されるのです。そのため建築時期が円安時期に重なると、建材費が高騰するリスクがあります。
一方で円高では、輸入建材の価格が相対的に抑えられます。輸入コストが減少するため、建築の材料調達コスト削減が期待できます。
なお、前提として為替変動は短期的に大きく変動するため、建築時期の選定には十分な余裕を持つ必要があります。また、為替変動に合わせて建材の調達地を柔軟に選定することも選択肢として覚えておきましょう。
まとめ
この記事では、注文住宅の建築時期選びに関する様々な情報をお伝えしてきました。
気候・天候・予算・工期・資材や職人の確保など、時期選びに影響する要因は多岐に渡ります。それぞれの要素を総合的に考慮し、自分たちに最適なタイミングを見極めることが大切です。
これからお家づくりを考えている方は、ぜひこの記事を時期選びの参考にしてみてください。