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地震に強い家の構造とは?耐震・免震・制震構造の違いも解説

地震は、その発生が予測困難な上に建物に与える影響は甚大で、人と家にとっての天敵のような存在です。人命がかかっているだけに、現在の住宅設計は人類と地震との戦いの果てに出来上がったと言っても過言ではないでしょう。

幸いなことに、これから家を建てる方の場合は住宅自体の設計や立地選定という点で、地震との向き合い方に選択肢があると言えます。

本記事では、家を建てる際に知っておきたい地震に強い家の構造や設計のポイントなど、詳しく説明していきます。

地震に強い家の構造

建物の耐震性は、その構造の種類と特徴によって大きく異なります。

従来の地震対策技術から革新的な耐震技術と材料、そして耐震構造と免震・制震構造の違いまで、地震に強い構造にはさまざまなアプローチがあります。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

従来の地震対策技術

従来の地震対策技術は、建物を揺れに耐えられるように設計することに焦点を当てています。強固な柱や壁・梁などの構造部材を使用し、地震の揺れによる損傷を最小限に抑えることができます。

また、建物の基礎設計でいうと、地震時に地盤の動きに対応できるように遊びを持たせることで対応していました。

革新的な耐震技術と材料

近年では、革新的な耐震技術と材料の開発が進み、地震による被害をさらに軽減することが可能になっています。

例えば、高強度の鋼材や耐震コンクリートなどの新しい建材の使用や、地震時に建物の振動を吸収するダンパーの導入などがあります。

なおダンパーとは、地震のエネルギーを吸収して建物の揺れを軽減するために設置される装置です。

通常、建物の柱や梁、壁などの構造要素に取り付けられ、地震の振動が伝わるとダンパー内部の液体やゴム、金属などの素材が変形し、その変形によって生じる摩擦や抵抗力がエネルギーを吸収します。この過程により、建物全体の揺れが緩和され、地震による損傷を防ぐことができるのです。

ダンパーの種類にはオイルダンパー、粘性ダンパー、金属ダンパーなどがあり、それぞれ異なる方法でエネルギーを吸収します。地震に対する安全性を向上させるために、現代の多くの高層建築や重要施設に導入されています。

これらの技術と材料を活用することで、地震による被害を最小限に抑えることが可能になります。

耐震構造と免震・制震構造の違い

耐震構造は、地震時に建物が安定して立ち続けることを目的として設計された構造です。建物の柱や壁に補強材を追加することで地震に対抗するという設計で、通常の建築費用にあまり大きな追加費用はかかりません。一般的には、標準的な建築費用の範囲内で収まることが多いです。

一方、免震・制震構造は、地震の揺れを吸収し建物自体の振動を軽減することを目指し地震時の揺れを大きく減衰させることができるため、被害を最小限に抑えることを目的とした構造となっています。

免震構造は、建物基礎と本体の間に免震装置を設置することで地震の揺れを大幅に軽減する構造です。この構造は地震エネルギーを吸収し、揺れを建物全体に伝えないようにします。免震構造の導入には、通常の建築コストに比べて20~30%程度の追加費用がかかると言われています。この追加費用には、免震装置の設置や基礎工事の強化が含まれます。

制震構造は、建物内部にダンパーなどの制震装置を設置して、揺れを吸収・減衰させる構造です。制震構造は、耐震構造に比べて設置コストが高くなりますが、免震構造よりは一般的に安価です。具体的な費用は、建物の規模や設置するダンパーの種類によりますが、こちらは通常の建築コストに比べて10~20%程度の追加費用がかかるとされています​。

地震に強い構造を持つ建物は、地震の被害を最小限に抑えるための重要な構成要素です。
従来の技術から最新の革新的な技術まで、さまざまなアプローチがある中で、コストと相談しながらどの構造を採用するかしっかり検討しましょう。

耐震設計のポイント

地震に強い家を建てるためには、様々な構成要素が重要です。以下に、耐震設計のポイントを詳しく説明します。

基礎の強化方法

地震時に地盤からの揺れにより最も荷重を受ける基礎は、建物の安定性を支える重要な構成要素です。基礎の強化方法としては、まず地盤の状況を詳細に調査し、適切な基礎設計を行うことが重要です。また、地盤改良や適切な基礎材料の選定、また地震時に適切に対応できる基礎構造を採用することも必要になります。

壁の耐震性向上テクニック

壁は建物の中で荷重を受ける部分の一つです。地震時に壁が破損すると、建物全体の安定性に影響を及ぼす可能性があります。そのため、壁の内部に補強材を組み込んだり、壁の接合部や隅の部分を補強したりするなどが一般的です。

屋根と天井の安全設計

地震の際、重い屋根は揺れにより大きな力を受けやすく、損傷や崩壊のリスクが高まります。そこで、軽量な材料を使用することが推奨されます。例えば、金属製の屋根材や軽量の合成材料を使用することで、建物全体の揺れを軽減することができます。

さらに、屋根の骨組み部分を強化することも重要です。これには、金属製の補強材やブレースを用いて、構造全体の強度を高める方法があります。特に、地震の力が集中しやすい部分には、追加の補強が必要です。例えば、梁や桁の接合部に強化金具を使用することで、地震時の破損を防ぐことができます。

また、屋根材の固定も重要な要素です。専用の釘やネジ、金具を使用して、屋根材が地震の振動によってずれたり外れたりしないようにします。これにより、屋根材の落下や飛散を防ぐことができます。

次に、天井の地震対策についてですが、吊り天井の強化が重要です。吊り天井は、地震時に大きく揺れる可能性があるため、天井パネルをしっかりと固定するためのクリップやブラケットを追加します。また、吊り材自体も強化し、天井全体の安定性を向上させる必要があります。

天井に使用する素材を軽量化することも、地震対策の一環です。軽量の石膏ボードやアルミニウムパネルなどの使用により、地震時の天井の落下リスクを減少させることができます。これにより、室内の安全性が向上します。

さらに、天井に振れ止めを設置することが有効です。振れ止めは、天井が地震の際に過剰に揺れるのを抑制し、崩壊のリスクを低減します。また、耐震天井システムを導入することで、地震時の天井の安定性を確保することができます。これらのシステムには、特別な吊り金具や補強材が組み込まれており、地震の揺れを効果的に吸収し分散させます。

このように、屋根と天井の地震対策は、軽量化、補強構造の導入、固定強化など多岐にわたります。建築設計の初期段階からこれらの対策を取り入れることで、地震時の被害を大幅に軽減し、建物の安全性を高めることが可能です。

耐震性に優れた建築材料

地震に対する建物の耐性を高めるためには、耐震性に優れた建築材料を選ぶことが重要です。例えば、鉄筋コンクリートや鋼構造などの強固な建築材料は、地震による揺れに対して高い耐性を発揮します。これらの材料は、柱や梁などの構造部材に使用され建物全体の安定性を確保します。

耐震改修

耐震改修とは、既存の建物に対して地震に対する耐久性を向上させるための工事や補強を行うことです。耐震改修を行うことで、元々不十分な対策しかされていなかった家でも、後からある程度耐震性を向上させることができます。以下では、耐震改修の必要性、一般的なステップ、そして改修費用と助成金の活用について掘り下げていきます。

耐震改修の必要性

地震が発生した際、建物が十分な耐震性を持っていないと、居住者の安全が脅かされる可能性があります。古い建物や耐震設計が不十分な建物は特に危険です。耐震改修によって建物の耐震性を向上させることで地震時の被害を最小限に抑え、居住者の安全を守ることが可能になります。

耐震改修の一般的な流れ

耐震改修の一般的な流れは次の通りです。まず、建物の耐震診断を行い、改修の必要性を評価します。次に、耐震設計の専門家が建物の現状を確認し改修計画を策定します。その後、改修工事を行い、耐震性を向上させます。最後に、改修後の建物を再度診断し、耐震性の確認を行います。

改修費用と助成金の活用

耐震改修には一定の費用がかかりますが、その費用を助成金や補助金を活用することで軽減することができます。自治体や政府が提供する耐震改修の助成金や補助金を利用することで、改修費用の一部を補填することができます。また、住宅ローンや補助金制度を活用することも可能です。耐震改修にかかる費用を抑えながら、地震時の安全性を向上させるために、助成金の活用を検討しましょう。

耐震診断と評価

地震に対する建物の耐性を評価するためには、耐震診断が必須です。
以下では、耐震診断のプロセスと家の耐震性を評価する指標について説明します。

耐震診断の流れ

耐震診断は、専門家が建物の耐震性を調査し、問題や改善すべき点を特定するプロセスです。まず、建物の構造や地盤状況などの情報を収集し、建物の設計や建築年月日などの基本情報を確認します。次に、建物の外観や内部構造を視察し、劣化や損傷の程度を確認します。また、地震時の挙動をシミュレーションし、建物の耐震性を評価します。最後に、診断結果をまとめて報告書として提出し、改修や補強の必要性を示します。

家の耐震性を評価する指標

耐震診断では、家の耐震性を評価するためにさまざまな指標が使用されます。主な指標には、建物の耐震性能や耐震性能指標、地震時の構造挙動などがあります。これらの指標を基に、建物の耐震性を総合的に評価し、必要に応じて改修や補強の計画を立てます。また、耐震性能の高い建材や構造設計が採用されているかどうかも重要な評価ポイントです。

まとめ

いかがでしたか?地震は日本における最大の自然災害の一つであり、その被害を最小限に抑えるためには、建物の設計と構造が非常に重要です。耐震、制震、免震の各技術を効果的に組み合わせることで、地震による損害を大幅に軽減することができます。

地震対策は家族の命を守るための投資です。しっかりとした対策を講じることで安心して暮らせる住環境を実現しましょう。

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マイホムニュース編集部

マイホムは1000社以上の住宅会社と取引があり、また社内にも住宅会社出身者が多数在籍しています。この住宅業界に特化した豊富な知見を、信頼できる適切な情報を集めたいユーザーに届けていきます。

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