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注文住宅の天井の高さはどの程度が良い?建築基準法の規定や心理効果

注文住宅を建てる際、天井の高さは住まいの快適性に大きな影響を与える要素の一つです。

天井の高さは、室内の開放感や採光・通気性などに関わるだけでなく、法律上の規定も踏まえ設定されています。
建築基準法では、住宅の天井の高さについて最低限の基準が定められており、注文住宅を設計する際はこの法律の規定を理解し、適切な天井の高さを選択することが重要になるケースがあります。

本記事では、建築基準法における天井の高さの規定と、それが住宅設計に与える影響について詳しく解説します。

建築基準法における天井の高さの規定

まず日本の建築基準法では、居室の天井の高さについて明確な規定があります。

具体的には、建築基準法施行令第21条に基づいて、居室の天井の高さは2.1メートル以上である必要があります。さらに、特定の構造やデザインにより、天井の一部が2.1メートル未満になる場合がありますが、その場合でも、平均して2.1メートル以上の高さを維持することが求められます。これにより、生活に支障をきたさない範囲で設計の自由度が確保されています。

この最低限の天井高さの基準は、快適な居住空間を提供するために設けられており、建築物の設計や施工において重要な指標となります。 

居室の天井の高さに関する建築基準法の基準

建築基準法では、居住空間の安全性と快適性を確保するために居室の天井の高さについて最低限の基準を設けています。

法律上、居室の天井の高さは最低でも2.1メートル以上でなければなりません。
この高さは、人が立ったり座ったりするのに必要な最低限のスペースを確保するために定められました。

一方で、天井が傾斜している場合は高さの計算方法が異なります。

勾配天井(天井の高さが一定ではなく、傾斜がついている天井)の場合、天井全体の垂直投影面積の平均値が2.1メートル以上であれば基準を満たすことになります。つまり一部が2.1メートル未満でも、全体として十分な空間があれば問題ないとされているのです。

2.1メートルという数値は、居住スペースとしての機能性と安全性の両方を考慮して決められました。

天井が低すぎると、人の活動に支障をきたす可能性があります。逆に高すぎると、換気や空調の効率が下がってしまいます。そのため、適切な範囲内に設定されているのです。

居室の定義と天井の高さの規定

建築基準法で居室というのは、人が継続的に寝たり日常生活を送ったりする部屋のことを指します。

具体的には、寝室・リビング・ダイニングなどが居室にあたります。
キッチン・トイレ・お風呂・廊下などは、継続的に生活する場所ではないので居室には含まれません。

建築基準法では居室の定義を明確にし、その天井の高さについて最低限の基準を設けることで住環境の質を保証しているのです。

居室の天井の高さを測定する方法と基準点

部屋の天井の高さを測る時は、床から天井までの高さを真上に向かって測ります。

この時の基準となる床は、部屋の一番低い位置にある床の表面となります。つまり床の仕上げ面の一番下が基準点になります。

斜めの天井の場合は、天井に垂直に投影した面積が部屋の床面積の半分以上あれば、一番低い点から床までの高さを天井の高さとみなします。

段になっている天井の場合は、それぞれの段の面積に応じて平均の高さを計算し2.1メートル以上であれば基準を満たすことになります。

また天井に梁や段差がある場合、条件を満たせばそれらの部分を天井の高さを測る時に除外することができます。

具体的には梁の出が0.5メートル以下で、その部分の床面積が部屋全体の床面積の8分の1以下であれば天井の高さを測る時に除外できるのです。

廊下・階段・トイレ等の天井の高さに関する建築基準法の基準

建築基準法では、廊下・階段・トイレなどの非居住空間については天井の高さに関する具体的な数値基準が設けられていません。

これらの空間での滞在時間は比較的短いため、居住性よりも避難経路の確保や設備のスペース確保が優先されるからです。

例えば廊下は、避難時の円滑な移動のために一定の高さと幅が必要とされますが長時間の活動は想定されていません。また、配管などの設備のスペースとしても機能します。

階段については避難経路の確保が最も重要で、階段の構造上問題ない範囲で適切な天井の高さが設定されます。

トイレは換気設備のスペースは必要ですが、長時間の滞在は想定されていないため居室ほど広い空間は必要ありません。

つまり建築基準法では、非居住空間の天井の高さについて居室ほど厳格な数値基準を設けていないということになりますが、これらの空間の用途や滞在時間を考慮した上での基準設定だと言えます。

天井の高さ規定の例外と特例

建築基準法の天井の高さ規定には、特定の条件下で例外や特例が認められています。

小屋裏部屋等の天井の高さ規定の特例

建築基準法では一般的な居室の天井の高さは2.1メートル以上が求められていますが、小屋裏部屋やロフトなどについては特例が設けられています。

小屋裏部屋の場合は天井が傾斜しているため、天井の垂直投影面積の平均値が1.6メートル以上あれば居室の天井の高さの基準を満たすことができます。

つまり一部が1.6メートル未満でも、全体として一定の空間的余裕があれば認められるのです。

この特例は、小屋裏部屋だけでなくロフトなどの小空間にも適用されます。

しかし台所・浴室・トイレなどの特殊な用途の部屋については、この特例の対象外となりそれぞれの用途に応じた別の基準が適用されます。

建築基準法では一定の条件の下で特例を認めることで、設計の自由度を確保しながら居住空間の安全性と快適性を確保しているのです。

天井の高さと室内環境の関係

天井の高さは、室内環境に大きな影響を与えます。

天井が高い場合、空気の対流が良くなり室内の空気循環が促進されます。適切な換気により二酸化炭素濃度の上昇が抑えられ、新鮮な空気に入れ替わることで空気質が改善されます。

一方天井が低すぎると、この対流が妨げられ空気が滞留しやすくなります。

天井の高さは、採光や照明の効率にも影響します。

高い天井では、光が広範囲に届くため明るく開放的な空間を作りやすくなります。

逆に低い天井では、光が行き渡りにくく室内が暗くなりがちです。

天井の高さは人間の心理面にも影響を与えます。

高い天井の空間は、解放感や開放感を与え落ち着いた雰囲気を醸し出します。

一方で低い天井は、閉塞感を生み出し圧迫された窮屈な印象を与えがちです。

天井の高さと室内の温熱環境の関係

天井の高さは、室内の温熱環境に大きな影響を与えます。

高い天井の場合、空気の対流が活発になり冷暖房の効率が下がる傾向があります。

天井付近で温まった空気が上部に逃げてしまうため、人がいる床面付近の空気を暖めるのに時間がかかるのです。
逆に低い天井の場合、この対流が抑えられるため、冷暖房の効果が人の活動範囲に直接作用しやすくなります。

しかし天井が極端に高いと別の問題が生じます。

夏場は、天井付近で日射熱を受けやすくなり上部の空気が過熱して室温が上昇してしまいます。その結果、冷房負荷が大きくなりエネルギー消費が増加します。

冬場でも、天井付近で温まった空気が上に逃げてしまうため暖房効率が低下します。

居住者が快適に過ごせる室内環境を実現するには、省エネルギー性を確保する観点から建物の用途に合わせて最適な天井の高さを設定する必要があります。

一般的な住宅では天井の高さは2.5~3mが目安とされていますが、大空間ではさらに高い天井が求められる場合もあります。

天井の高さを活かした住宅設計のポイント

天井の高さを活かした住宅設計では、様々な工夫が行われています。主な例には、次のようなものがあります。

天井の高さを変化させる設計手法と効果

住宅設計において、天井の高さを部屋ごとに変えることで様々な効果が得られます。

リビングなどの共有スペースで天井を高くすると、吹き抜けのような開放感と解放感が生まれます。視界が広がり圧迫感のない空間になるのです。

一方で寝室やホテルの客室などの個室では、天井を低くすることで落ち着いた雰囲気とプライバシーを確保できます。

また天井の高さを部屋ごとに変化させると、空間の使い分けや人の動きを誘導することができます。

玄関やリビングは天井を高く居室や廊下は低くすれば、開放的な共有空間とプライベートな個室空間を両立できるでしょう。

さらに、こう配天井を使えば段差なく空間の変化を作り出せます。

天井の高さを活かした内装デザインの工夫

天井が高い部屋では、大きな壁を有効活用することで開放感と落ち着いた雰囲気の両方を作り出せます。

壁の一部に、木の板や石などを貼ったアクセントウォールを作ると奥行きが感じられすっきりとした印象になります。

一方天井が低い部屋の場合、壁と天井の境目にモールディングなどの飾りを付けると天井が高く感じられます。また、天井と同じ色の内装にすると圧迫感が和らぐでしょう。

天井の高さと家具・照明等の選択や配置の関係

天井の高さに合わせて家具や照明を選ぶと、部屋の雰囲気を良くすることができます。

天井が高い部屋では、大きめの家具を選びましょう。

高い棚やソファを置くと圧迫感が和らぎ開放的な印象になります。

照明は、間接照明やペンダント照明・シーリングファン・シャンデリアなどを使うと天井の高さが強調されます。ただし天井が高すぎると、照明の光が行き渡りにくいので気をつけましょう。

逆に天井が低い部屋では、シンプルでスリムな家具を選ぶのがおすすめです。

大きくて重い家具は避け、天井に近づきすぎない高さのものを選びましょう。

照明は、ダウンライトやスタンドなどの間接照明が良いでしょう。天井からぶら下がる照明は却って天井の低さを強調することになるので、避けることをお勧めします。

まとめ

ここまで、建築基準法における天井の高さの規定や天井の高さが住人に与える心理的影響について説明してきました。

建築基準法における天井の高さの規定は、住宅の安全性と居住性を確保するために重要な役割を果たしています。注文住宅を設計する際は、これらの規定を十分に理解し、同時に天井の高さが住まいの快適性や効率性に与える影響も考慮に入れる必要があります。

建築基準法の規定を満たしつつ、自分たちのニーズや好みに合わせて最適な天井の高さを設定することが、快適で魅力的な注文住宅を建てるための鍵となるでしょう。

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マイホムニュース編集部

マイホムは1000社以上の住宅会社と取引があり、また社内にも住宅会社出身者が多数在籍しています。この住宅業界に特化した豊富な知見を、信頼できる適切な情報を集めたいユーザーに届けていきます。

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