Executive Vision - Top Interview -

株式会社クリエイト礼文 大場友和氏

株式会社クリエイト礼文

代表取締役CEO

大場友和

おおば ともかず

Profile

1976年生まれ、山形県出身。
株式会社クリエイト礼文にてユニテハウスという建物ブランド、戸建てブランドを中心に、不動産の賃貸、売買事業を行う。
また、FC事業にユニテハウスで、箱型総二階の建物の商品や販売手法をパッケージにしたノウハウをフランチャイズ展開。加盟店は現在47社となり、年間約900棟の住宅を全国で提供。

この2年間で様々な社会変化があり、ビルダーの皆様の中には、常に答えを模索しながら日々営業や業務を行っている方もいらっしゃると思います。そこで、営業戦略の立て方やフレームワークを皆さんに共有し、さらに、住宅業界やビルダーの魅力をお伝えするため、私どもは【エグゼクティブビジョン】というメディアを立ち上げました。

今回第1回目として、山形県で13年連続No.1のトップビルダーで、代表取締役CEOである大場友和(おおば ともかず・株式会社クリエイト礼文)さんに、乃村(株式会社マイホム代表取締役CEO)からインタビューさせていただきました。

今回は後編です。

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わかりました。次に、これまでの経営者として苦労されたエピソードを教えてください。

大場さん 私はやはり周りから見ると、“二代目社長”と見えるわけです。実際そうではあるのですが、自分ではそうじゃないと思っていたわけです。僕は幹部になり、認められて経営者になったと勝手に思い込んでいたのですが、そうではなかったと思わされる瞬間があって。経営者としてということから離れるかもしれませんが、埼玉に裸一環で、看板と時間がない状態で行ったときに採用を行ったのですが、その採用した2人がある日突然辞表を持ってきて、私1人になったという瞬間がありました。15年くらい前なのですが、それまでは結局“私”という人に着いてきたということではなく、会社の仕組みや会社の規模、創業者である前会長の性格や人望に人が着いてきただけで、“私”という人に全く魅力もなく、知識や人望のなさを感じました。自分ではそうしていたつもりはなかったのですが、言葉や態度でただ威張っていただけで、裸の王様になった瞬間がありました。私が、人軸経営にしよう、人を大切にしていこうと思った1番のきっかけがここだったのです。この時に非常に苦い経験をしました。山形にいる時も仙台にいる時もこれまでずっとそういうことをやってきたのでしょうね…。2人が辞表を持ってきて、1人になったことで気づき、自分の中でガラッとパラダイムシフトが起きました。
僕の場合は、バトンを受け継いだ段階でそこそこ盤石だったり、人員規模感もある程度はありましたし、ブランドもそれなりに確立していましたから、ゼロから1を作ることや財務基盤を作るという苦労はおかげさまでなかったと思います。現在進行形として、現状で改革を起こしている部分で、離職を減らしたり、社員が疲弊しないように仕組みや制度を改善することはなかなか苦労してる部分ではあります。しかし、人軸経営を掲げて、間違いなく変わり始めていて、そして変わっている最中にいます。

興味深いですね。次に、御社独自の文化や制度があれば教えてください。

大場さん すごく意識して変えてきた部分として働き方改革があります。
先ほども話した通り、社員が疲弊することが今までは非常に多かった時代もありましたが、今、年間120日の休日が確保されています。結構多くて、社員も消化するのに精一杯というぐらいです。給与体系も見直しておりまして、大きく働く環境や社員の1番基盤となるところを常に改革している状態です。
次に、4月に、中期経営計画の発表会を行いましたが、そこで、様々な取り組みの発表をしました。業務に対しての目標や、他にも文化や制度という意味では、ダイバーシティ&インクルージョンということで、ダイバーシティ宣言を行いました。
私が発表したのは、一般的に言われているダイバーシティという考え方で、多種多様な人材や人種を雇用したり、そういったことに囚われないことのみならず、弊社の中で、いろいろ工夫があったり、働く上でのダイバーシティが明確に3点あります。
そして、小さなことではありますが、6月からオフィスカジュアルに取り組みました。今までは制服だったり、どちらかというと、先代から引き継いだようなスタイルだったのですが、若いお客様に対して、かっちりとスーツで威圧感あるような雰囲気ではダメですし、働く社員も明るい雰囲気になれるようにと、そちらも委員会を立ち上げて今スタートしていて、浸透しており、非常に良い取組みとなっています。

そして、昨年度から取り組んでいる、山形こどもSDGs研究所があります。こちらは、具体的には、子ども健やかプロジェクトというものを立ち上げておりまして、山形市内の保育園に、リクシルさんから提供いただいたスタイルシェイドという日よけを寄贈しております。昨年は、パイロット展開ということで今年度から3年間がその期間で、申し込みが殺到しております。4つの保育園で、日よけをして、山形の暑い夏を乗り切ろうという事だけではなく、山形の子供たちに地球環境を守ることとして、エアコンをガンガンかけなくても、風が通り抜ける環境の中で、太陽の光だけは遮りましょうという施策です。そして、そういうことをしているんだと興味関心を持って、自分たちがこれから生きていく地球環境をどうしていったらいいかと考える教育の一環にしたいという思いでプロジェクトをスタートしました。そちらは山形市もだいぶ働きかけていただき、市と一緒にやっているという段階に来ていますので、1歩も2歩も進んでいるかなと思います。これからも子供たちの成長を助けたり、未来の環境を一緒に作っていこうということを続けていきたいと思っております。

そして、全社員アンケートというものを昨年から始めました。
そこにはただ愚痴を書くとかだけではなく、やはり社員の生の声というのが届きづらかったということもを改善すべく、20項目の施作を定めて、それに向かって改善するプロジェクト進行中です。

現在、大場社長が最も注力されていることを教えてください。

大場さん 先ほどから出ている通り、社員とその家族を幸せにすることです。

気持ちいいほど1本通っていますね。

大場さん その土台の上で、お客様を幸せにできると思っています。一言でいうと、QOLという概念をお客様に心底提案するために、またみんなが幸せになろうということから始めています。

最後に、好きな本を1冊ご紹介お願いします。

大場さん また、いろいろなインタビューで答えているのですが、ナポレオン・ヒルの『成功哲学』です。これは自分のバイブルになっていますが、私は、いわゆる夢や目標があったわけではないので、ある程度自己啓発する必要があったわけです。いろいろなものを読んできたのですが、今でもバイブルはこれです。

この本を読んで、自分の中に何か1つ考える軸みたいなものができたのでしょうか?

大場さん できましたね。この本自体は、成功は非常に難しいですが、ある程度ロジカルに、成功者の成功体験をヒアリングしていったら自分も成功者になったという新聞記者ナポレオン・ヒルの人生哲学の話です。私には無目的、無目標だった学生時代から、何の目標も目的もやりたいこともなく、就職して、現在に至る、格好悪いサクセスストーリーがあります。でも、かっこいいストーリーや、さきほどのような理念や思いは、私は正直後付けでいいと思っています。今、真理に対して従順で、一生懸命やっていれば、結局物語は後付けできるなと思っていて。なので、そこは成功するという事は何かということを明確に『成功哲学』できちんと学びましたし、とにかく徹底的に、今のところロジカルにやっていこう、深層心理に向かってやっていこうというところなのですが、それをやっていると、後でおのずと結果がついてくるというのは、『成功哲学』にちりばめられているんですね。

その中で、『成功哲学』に出てくる好きなエピソードとして、「29秒の奇跡」という一節があります。要は、意思決定のスピードと意思決定能力の話なのですが、創業者であれば、常に意志決定の連続をずっとしてきたと思うのですが、私は父親が敷いてきたレールの上をずっと走ってきて、経営者になりました。今やっと分岐点になったところを自分で意志決定しているのですが、そこが足りなかったので、補う必要がありました。「29秒の奇跡」というのは、ゴールドラッシュやアメリカの1940~50年代に製鉄王アンドリュー・カーネギーに若き日の新聞記者のナポレオン・ヒルがした質問が元になっています。アンドリューは「成功した秘訣を教えてください」と聞かれたところ、当時家族がいたナポレオン・ヒルに、「無一文で教えるから俺の弟子になれ」と言い放ちます。家族もいるナポレオン・ヒルは路頭に迷うかもしれないと思いつつも、「わかりました」と返事をしたのです。すると、アンドリュー・カーネギーは懐中時計を出して、ストップウォッチをはかって、「実は、あなた以外にも僕に成功体験を聞きに来たけど、みんな今の生活や幸せがあるので、決断できなかった。もしくは長くかかった。しかし、君は29秒という最短で決断した。だから、君に私の成功と自分の人脈(フォードとかエジソンなどたくさんの著名人)を惜しみなく教えてやる」と言って、ナポレオン・ヒルは、アンドリュー・カーネギーのおつきになりました。なので、全ての教えを乞うて、会食にも出て、「本当に成功したゴールドラッシュの時代のあの人たちのルールはこうだった」ということを身に着けて自分もそのままなぞったら成功したという話なんです。

それが「29秒の奇跡」と言われているんですね。

大場さん つまり、経営者は孤独で、何かの基準のもとに、常に意思決定をしていくということを、これでかなり自分の中にマインドセットできました。
人はいつからでも、どこからでも気づきや学びがあるじゃないですか。今、仲間や社員とかに恵まれているなと心から思えるんですよ。当時は、本当に邪魔くさいと思っていましたから。「もっと働けよ」という、典型的なダメ昭和工務店の人でしたね。でも、この記事を見て気づいてもらいたいですよね。
人はいつからでも、どこからでも変われて、しかも今この環境にいる人たちは、今変われば、仲間が救ってくれると。だから、テクニカルな部分じゃないところが伝わるといいなと思います。

非常に示唆のあるお話を沢山いただきました。今後のご活躍を期待しております。
ありがとうございました! 

大場さん ありがとうございました。

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