【トップセールスと語る】寄り添う心とプロ意識(後編)|ロイヤルホーム株式会社グループ デイジャストハウス 上玉利幹太氏

鹿児島No.1ビルダーで営業トップを走り続ける上玉利 幹太(うえたまり かんた、ロイヤルホーム株式会社グループ デイジャストハウス。以下、上玉利さん)さんに、乃村(株式会社マイホム代表取締役CEO)から、接客中に大切にしていること、また、結果を出すチームを率いる秘訣をインタビューさせていただきました。

上玉利さんよりお聞きできた、『新卒2年目で17棟の商談方法』、『営業知識の身につけ方』、『寄り添う心とプロ意識』を、前中後編に分けてお届けいたします。

今回は後編です。

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自社の強みはブラさない

最終段階で「もうこれ以上は見せる物件もないし、話も全部出し切っているかな」となった時、不安に陥ってしまう人もいると思います。「よくわからないけれど」など。その様な悩みや不安に陥っている人には、どのように対応されていますか?

上玉利さん 一定数の方でいらっしゃいます。それに関しても初回でお話をするようにしています。

難しく考えてしまいがちですが、家づくりを進められる段階は、3つ揃っていれば良いのです。建てたいお家と、建てたい金額。それから、土地が見つかる。この3つが揃えば問題ないです。この点を最初に話します。

うちに関しては、建てたいお家が建てたい金額で建てられますし、性能や予算に関しても、初回でグリップできます。「その3つが揃えられれば皆さん進められるんですけれども、それ以外にクリアしないといけない問題はないですか?」ということを確認しています。親御さんを気にされている、とか、どうしても進められない理由があるなど。

たとえば「転勤が来年にならないとわからない」「住む場所も変わるから」「2年後に土地をもらう」など。「そういったものが進められない理由になりますが、そういうものはございますか?」という話を聞きながら「それじゃあもう、早いほうがいいですね」「課題解決を前倒ししていきましょう」とお伝えします。

延びれば延びるだけ損失になりもったいないので、というところもお伝えします。たとえば2週間に1回見て、半年かけて決めようと思っていたのであれば「1週間に1回会えば3か月で終わりますよね」とか。

たしかに。

上玉利さん 3か月後よりも半年後の方が高くなっている、という話に結び付けながら、できるならば前倒ししていきましょう、と。焦る必要はないですけれど、期間をギュッと凝縮してあげましょう、という話をします。

ただ、その前提で進めていても、不安に陥ってしまう方もいらっしゃいます。ですから、初期の段階で「そうなったら、そのときだけは私が引っ張りますね」という話をしています。「プロとして進めていますけれど、やはり大きな買い物ですし、長い計画になりますし、何となく不安な方ももちろんいらっしゃいますよ。ただ、何となくの不安だけになったときは進めないといけないタイミングですので、私が背中を押します」とお伝えします。

実際にそうなったときは「今が初回でお話ししていたタイミングです。もう進めていいはずなのに怖さだけが残っていますが、それは具体的な怖さではありません。プロとしても、安心して進めていいと力強く背中を押せるタイミングですので、一緒に進めましょう」というイメージで、前もって布石を打ち続ける事を意識しております。

お客様が競合他社さんとの比較で悩んでいるケースでは、どのようにされていますか?

上玉利さん 定番かもしれないですけれど、気をつけているのは、他社さんの土俵に乗っからないということです。

「他社さんではこれがついているんですが、つけられますか?」ということもよくあると思います。金額等のご回答はしますが、弊社がそれをしていない理由、弊社の標準をこれにしている理由「これがお客様の正解だと思っているのでこうしています」と説明します。この軸はブラさないようにしています。

やはり、他社さんと比較される場合、お客様が「良いな」と思ってくれる部分は、そこの会社さんの強み、特化している部分だと思うので、そちらに合わせてしまうと弊社としての強みやお客様にとってのメリットが薄れてしまうときがあります。ですから、どちらかというと、あまり合わせにはいかないようにしています。正直、お客様にとっても、そんなにいいことだとは思っておりません。

ただし、前提として、他社の話が出てこないうちに決めていただきたいと思っております。あとは、営業さん向けになりますが、定番ですが「後に会う」ということです。上書きするかたちにしたい。そこはもう、絶対ですね。夜に訪問してでも、後に会う。

売れる営業には数字の意識とスケジュール管理

伸び悩んでいる、いわゆる売れない営業さんと売れる営業さんの違いって、何だと思いますか?

上玉利さん 数字の意識と、そこに紐づくスケジュール管理です。

「今月は1棟やる」という目標を立てるのであれば、1棟に対して何件の商談がいるのか、そのためには商談客や見込み客から何件の次アポをとらなければいけないのか、そのために初回の商談を何件行わないといけないのか。それが不足しているのであれば、テレコールをしないといけない、などです。

その前提で、私の中ではやっぱり、3回会わないと絶対に契約にはならない、という目論見があります。やっぱり、2回だと契約にはならないので、それじゃあ逆算したらどうなるのか。月を折り返してから焦る営業マンの方も結構いらっしゃると思うんですけれど、それでは遅いと、うちのメンバーに対してもずっと言っています。

2週目までに3件の見込み客をつくる。それでやっと1本決まるかどうか、という意識は、私も持っています。2本決めたいのであれば、当然、その倍ですよね。1件決めるためには、3本の見込み客をつくらなければ決まらないという意識で動いておりますが、そこがやっぱり大事です。一種の危機感だと思います。

自分でスケジュール管理を行い、前倒しで動けるメンバーに関しては、多少雑でも大丈夫です。ここの管理ができれば、行動量も増えてきますし、無駄な時間を過ごすスタッフも減るので、大事かなと思います。ただ、人格があるのは大前提ですね。

態度が悪い、とか。そこはもう、別です。

新卒1年目はプロ意識を身につけること

最後の質問になりますが、今住宅業界に入ったばかりで、トップセールスを目指したいんです、みたいな人がいたら、初めの1年はこれをやったほうがいいよ、というものは何ですか?

上玉利さん 難しいですね。

御社に新卒で入った子に、まず1年目はこういうことを一生懸命頑張ったほうがいいよ、ということを教えるとしたら、どんなことを教えますか?

上玉利さん プロ意識はすごく大事だと思っています。

特に「一生を預かる住まい」で一般の方が何千万という借金をする計画って、家以外に何もないですよね。

その計画を、入社1年目や2年目の20代前半くらいの人が預かるというのは、結構大きい。自分も家を建てたことがない中で、人の一生を預かっていく計画。しかも、資格もいらないでできてしまうのがこの仕事です。

ここに関しての、プロ意識が大切です。

適当に資金計画やローンの提案もできないでしょうから、覚悟は持ってほしいです。大学、専門学校を卒業して、何を頑張るかという部分からいえば、そこから早く切り替える必要があります。細かい知識は、他社に行って勉強したり、総合展示場に行って、どんな説明があるか聞いてくる、などあります。

それは共通して大事なところではありますが、私としては1年目の内に身につけてほしいものは、プロ意識です。

サボり癖とか、営業マンの悪い癖ってありますよね。「内見に行ってきます」と言って出て行ったけれど、2、3時間で1件見ることができるのに帰ってこない。その癖がついたら、なかなか直しにくい。

どの会社でも「営業マンである以上は数字がすべて」ということは、どうしても言われてしまいます。そこに対してのこだわる、お客様の一生を預かる、というプロ意識、お金を生まないと給料が出ない、という覚悟みたいなものも大事です。

そうですよね。

上玉利さん どんどんだらしなくなっていきますし、どんどん不平不満が出てきてしまう。できる立場ではないのにそうなってくる、という悪循環になってくる気がします。もちろん、本人も稼げなくなりますし。

それは、45歳の僕にとっても、今でも難しいです。
本日は本当にとても参考になる情報が、たくさんありました。ありがとうございました!

上玉利さん こちらこそ、ありがとうございました。

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