組織として契約を取れることが1番(中編)|株式会社建匠 濱田起郎氏

高知No.1ビルダーで営業トップを走り続ける濱田(はまだ・株式会社建匠)さんに、乃村(株式会社マイホム代表取締役CEO)から、営業として意識していることやお客様の本音を引き出すコツ、また、店長としてチームを率いる秘訣をインタビューさせていただきました。

濱田さんよりお聞きした、『お客さんの立場に立つ』『建築動機を意識』『組織として契約を取れることが1番』を、前中後編に分けてお届けいたします。

今回は中編です。

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他の【トップセールスと語る】インタビューシリーズはこちらです。

お客さまの想いを素直にヒアリング

お客様が重視するポイントを整理するときにする会話や、お客様の重視するポイントの優先順位を引き出す方法などはありますか?

濱田さん 高知県なので、入り口として、ほとんどのお客様の中で耐震問題というものが絶対出てきます。

高知県は地震が多いのでしょうか?

濱田さん 南海大地震がもうすぐ来ると言われていますので、そういった話があがります。また、「家を快適にしたい」は絶対に出てくるワードだと思うのですが、何を持って快適なのかを探っていきます。明確な答えをお客様自身が持っているわけではないので、どうやったら快適にできるのかを一緒に考えるようにしています。例えば、夏にお風呂に入った後に汗かかないように、とか。冬であれば、どうやったら暖かくなれるか、そして光熱費の削減など、いろいろなことがありますよね。ここを、どうしたらいいのかというところをヒアリングします。お客様はそれぞれ家づくりへの想いを持っていて、それを改めて、素直に1つずつヒアリングしていきます。

次に、ウッドショックや土地の価格高騰の話もよく聞きます。ウッドショックなどで原価が上がり、価格のミスマッチのようなことも起きているところがあると思うのですが、ここはどのように乗り越えていらっしゃいますか?

濱田さん 結局、どこの会社に行っても価格は上がっているので、同じではないでしょうか?建匠ではお客様の人生設計を組んでおり、これからのお子さんの人数の設定から、光熱費、お小遣いなど、全部打ち込んでシミュレーションしています。なので、今回のウッドショックなどでいろいろありますので痛いは痛いですが、そんなにミスマッチして受注が減ったなという感覚はありません。むしろ受注が増えているので、やりにくさはないです。直近で言ったら、契約した後に原価がぶれて粗利が取れなくなってしまったことには困りました。どうしても契約してから着工まで、早くても、2~3ヶ月かかる商売なので、木材がいきなり高騰したことが大変だったかなという印象です。

確かに。この状況でも伸びていらっしゃるのはすごいですね。次に、例えば、家を建てられるお施主様家族がオッケーでも、あとから親御様が出てきてひっくり返るケース、意見が変わってしまうケースがあると思いますが、そういう時はどのような対策をしたり、どのような会話をしていらっしゃいますか?

濱田さん 1回目の商談の最後にも少し聞きますが、2回目以降でも常に確認するようにしています。正直、早い段階で解決しておかないと大変なので…。1番最初に、「ご両親にお話していますか?」という話は絶対にし、多少しているぐらいであれば、「もう少しちゃんと、『今本気で家づくりを進めている』という話をしてください」と伝えるようにしています。

今は金利も非常に安く、建てるのはすごくいい時期なので、土地の問題もありますが、話がスムーズにいった際に、木材の高騰などもあるので、ご家族のためにメリットがあるのですぐに契約になったとしても大丈夫なのか確認します。家を建てるときは非課税枠が大きく、日常での援助は贈与税とかもったいないので、援助が1000万とかあると、作ることができる家やエリアなど、全然話が変わってきます。だから「絶対に先に聞いておいたほうがいいですよ」という話はしています。結婚みたいなもので、結婚の相手をいきなり連れてこられて、「この人と明日結婚します」と言われても両親は困ると思うので、できる限り事前に確認をお願いしますと伝えております。

そうですよね。「前振りしておいてくれよ」っていう感じですね。

濱田さん そうですね。家も一緒なので、本気でよかったら「『今進めるかもしれない』という旨を伝えてください」と話します。次に、うちは建匠という会社ですがそれも問題ないか。それがダメなら「連れてきてください」と言ってご両親に来ていただく。もしくは、こちらから会いにいきます。

建築動機を意識

次に、2回目以降の接客で気にしていることや、クロージングについて教えてください。

濱田さん 1回目で大体の方向性は決めてしまうので、大体ここだろうという目星をつけて、予算感と物件と、1つずつハードルをクリアしていきますが、特に最近は、建築動機をすごく意識しています。

そもそも、どうして家を建てるのか、ということですね。

濱田さん そうですね。動機は皆さん結構ふわふわしています。例えば、家賃がもったいないとか、子供が生まれて手狭になったという話がよく上がってきます。でも、それは、別に建匠である必要性がないじゃないですか。「建匠である動機」を見つける作業が大事です。「家賃がもったいないので、家を建てたい」という話がありますが、それはずっと前から発生してることですよね。じゃあ今すぐやる動機でもなくないですか?と。

時期によっては金利なども変わってくるので「今やる意味」など、いろいろな意味合いで、今やるメリットがあるなら今やったほうがいいです。あとは、家を建てることに対する「ちゃんとした動機付け」ですね。本当に家がカビだらけで、健康被害が出ているので、一刻も早く引っ越さないといけないという人だったら、確かに動機は強いですし、カビと言ってくれたら、「じゃあ高性能住宅で、換気ができて、健康の家づくりをしないといけないですね」と、建匠でやる意味が出てきます。

なので、昔から言っていますが「なんで?」を3回ぐらい聞かないと、お客さんの本質の動機は出てこないですよ。だから、家賃の負担が大きいだけであれば、どこの会社さんでもいい話なのですが、しっかりとお客様の要望の先を聞くことはやるようにはしていますね。

なるほど。すごくわかりやすいです。

濱田さん 確かに営業マンからすると利益のこともあると思いますが、収入面などはすぐ増やせませんから…。収入を増やす話も難しいので、結局、今あるお金でしか予算をどうこうするのは無理なので、そのあたりは細かいちょっとしたテクニック的なところも多少はありますが、それよりも、動機付けの「なぜ今なのか」が大事なことです。全部につながると思います。

やはり、最終契約する前も不安だと思うので、その時に何が活きてくるかと言ったら「動機」です。話がブレたとしても「今回お客さんはこういう理由で来ましたよね」という話をちゃんと突き詰めていけば、ここでやる予算の意味や、そのエリアを選んだ意味など何にでも関連付けられるので。なので、そこが大事かと思います。

次に、お施主様の本音を引き出すコツは何かありますか?

濱田さん 僕自身がそのお客様になった体でお話します。やはり価値観が違うので、その人になったとしたときに辻褄が合わない答えが出てきたりします。最初は「家賃が高い」という話があるとしても「でも、家買ったら家賃以上はしますよね?」と。しかも、高知県はまぁまぁ土地が高いので、高性能住宅で家の本質を良くしようとしていたら、もちろん建物にお金がかかります。自分たちの資産を作るわけだから。そういう意味合いでいうと、「援助があると言ったら家賃より安くなると思いますが、そういう状況ではないのに、安くしたいと思っても、ちょっと無理がありませんか?」など。

アパートのような共同住宅は、狭い部屋に何世帯も入っているので、それは安いに決まってます…。アパートよりも、もちろん家も大きくなりますし、自分たちの資産ができるわけなので、それを安くしたいと言ったらちょっと違いますよね。月々のお金だけで言ったら、じゃぁ別に家じゃなくてもいいわけです。「賃貸でもっと安い賃貸ありますよね?」という話もできるでしょう。そうなったときに、「いつかはマイホームが欲しくて…」など、少しずつ本質が見えてきます。

僕たちでわからないことの答えをちゃんと出すことを大事にしています。お客様自身も納得していないようだったら、そこは素直に聞きますね。

最終段階、もしくは、申し込みして契約までの1~2週間とかの中で不安に陥っている人にはどのように対応されますか?

濱田さん とにかく会おうとします。どうしてもLINEとかメールだと感情が見えないので。電話でも、やはり表情が見えないので、できる限り会って、今までやってきた経緯とか、この先どういう未来が見えるのかお話します。「今やめてもいいと思います。そのかわり、今の生活と変わらないですよ」と。「こういう理由で建匠に来場頂けたじゃないですか、だから家を建てたいと同意した上で、僕らと家づくりをやっていて。夢が叶うか、叶わないか、もう目の前じゃないですか」と。本審査などでお金が通らないとなったら別問題ですが、「2人の意思で、なぜそれをやめてしまうの?」という話をします。

今と変わらない生活を送って、10年先に家賃がもったいなかったと思うのか。建てなくてよかったと思うのか。今ここで将来的にメリットがあるだろうと思い描き、じゃあこのタイミングで決めて、数年後に子供が生まれて、お家から学校に通ってとか、そういう未来を思い描き、老後に今から払ったら35年後の何歳で終わって、老後に生き生きできるような人生を歩んでいくことが幸せではないのか、などを話します。未来と今の現実と照らし合わせながら、正しい判断が行くように導くようにします。

あとは、お客様の表情を見ながら「それは不安だと思いますよ。僕も家を建てたとき不安だったので」という話をしてます。本当に建つのかどうか、払っていけるだろうか、という不安はあると思うんですけど、もしもという話は言い出したら正直キリがない。「お二人が健康にしっかりと良い生活を歩んでいけると考えたときに、家という1つのものが2人にとっては1番良い、これからの未来を作っていくんじゃないですか?」という話をします。営業マンなのでどうしても売られるとお客様も思っていると思いますが、正直、最終的な判断はお客様にしていただくので押し売りはせず、お客様の口から契約する意思を頂きます。

悪い言い方をしたら、僕は正直どっちでもいいです。あくまでお客さんが最優先なのでやったほうがいいなと思っているから僕も提案しているし、金利がすごい高くて、生活や年収的に厳しいなら、僕は提案をしません。割と素直に話すので、せっかくやってきたのにもったいないお客様に対しては、ちゃんと言いますし、不安で寝れずに家づくりの重圧に圧迫される方には「しんどいならやめたらいいと思いますよ」とは言います。営業といっても、僕はそこまで営業しないので。ベースはやはりお客さんのほうにつきます。でも、会社の利益の存続とかを考えたら、契約しないといけないし、お施主様のためにも会社を潰してしまうと1番迷惑をかけます。そういう意味でも、契約をするために、何をするかということをすごく考えます。

住宅業界ではよくあることですが、競合他社さんと悩んでいるケースではどのような提案をされますか?

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