お客様に無駄をさせたくない(後編)|株式会社日進堂 植田泰一氏

香川県トップビルダーの株式会社日進堂でトップセールスとして上り詰めた植田(うえだ)さんに、乃村(株式会社マイホム代表取締役CEO)から、営業として意識していることや、接客中に大切にしていること、お客様とのコミュニケーションをとるための極意、そして、挫折からトップセールスマンとなった植田さんならではの貴重なアドバイスなどをインタビューさせていただきました。
 
植田さんよりお聞きした、『とにかく傾聴し、寄り添う』『トレンドをよむ』『人を知り、世の中を知る』を、前中後編に分けてお届けいたします。

今回は後編です。

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他の【トップセールスと語る】インタビューシリーズはこちらです。

お客様の真意を掴めているのかどうか

なかなか売れない営業マンと、売れる営業マンの違いは何があると思いますか?

 植田さん 僕が売れる時、売れない時の違いでお話しすると、お客様の真意を掴めているのかどうかというところなのかなと思いますね。最初にお客様と会ったときに、お客様が求めているものはなんだろうと、そこが理解できているか、理解できていないのかだと思います。真意とか本意が気兼ねなく出せる、そういうコミュニケーションができるかどうかは大事ですね。

ここでいうコミュニケーション力というのは、会話がうまいということでしょうか?

 植田さん “うまい”ではないような気がします。僕は、お客様によって話し方を変えるように意識しています。勢いがある人に対しては元気よく話し、落ち着いた人には落ち着いた感じで。お客様に合わせられているか、ということが、結局好かれる、好かれないというところに行き着くのかなという感じはしています。

僕は広告代理店から建築業界に転職、全国展開をしている某住宅会社に入って全国を転々としましたが、初めての契約は今でも覚えています。4月に群馬に行って、5月のゴールデンウィーク明けには、長野の松本に行って、夏ぐらいには仙台に行きましたが、全く売れず、長い期間契約ゼロが続き、初契約は2月でした。この期間にめちゃくちゃもがき苦しんで。どうしたらご契約いただけるんだろうかと悩み考えました。

なるほど。今やトップセールスの植田さんでもそのような時があったんですね。ちなみにこういうことか!とわかったタイミングがあったのでしょうか?

 植田さん 初契約をいただいたお客様が実は他の工務店さんから、「あなたとは契約できません」と言われたような方でした。僕自身契約ゼロが続いていたところもあるのですが、僕のところに来てくださるのであればできるだけ親身になってぐっと入り込んで話そうとしていました。振り返ると、その時は意外と、性能などを含めて建てる家の話を話していなかったことに気付きました。

 また、2件目の契約は、とにかくお客様の元に通いました。図面や間取りの修正、変更があれば、毎回ご自宅に足を運んで細かく話をしました。そのお客様は、競合が10社ぐらいあったんですよね。でも、僕で「建てます」と言ってくださって。「何がよかったんですか?」とお聞きしたら、「自分の希望する間取りと、たくさん来てくれたから」だと。

契約できていなかったとき、どうしたら契約できるのか、王道のやり方は何なんだろうみたいなとことをきっと模索していました。後になって分かった事ですが、絶対に契約ができるやり方というものはなくて、結局そのお客様に寄り添えたか、極端に言うと、好かれているかどうか、「この人に建てて欲しい」と思っていただけるか、だったのかなと。本当はお客様に好かれたいという思いが一番ですが、すべてのお客様に好かれるのは難しいので、それであれば嫌われないように、少しでも雑談をして親近感をもっていただいて仲良くなれるようにしています。2月まで(契約が)ゼロだったというのが精神的にしんどかったのは今でも覚えています(笑)。

だいぶしんどかったんですね。

 植田さん もがき、苦しみましたね。

そんな時があったんですね。そんな方が20棟セールスになるのはすごいことですね。

 植田さん 僕も売れない営業マンだったんです。

人を知り、世の中を知る

たまに、ぱっとトンネルを抜ける人がいますからね。最後に、今、新卒の社員さんがこの業界に入ってきて、「今からがんばります」と言ったとき、最初の1年はこれをした方が良いなど、何かアドバイスはありますか?

 植田さん 世の中と人を知る、ということですかね。社会人になると、いろいろな人と出会っていくと思いますが、人とたくさん話をして、知っていくということで、自分の中に引き出しがたくさん作られていく気がします。だからこそ、人をよく知った方が良いのです。引き出しが多くなれば、人と話をしたり、接客するときに、「あのときにあんな話をしたな」とか、「この人はあの人とちょっと似ている」ということがなんとなくわかってきて、そこがわかるだけでも、話しやすさが違うと思うんです。

なるほど。このアドバイスは初めて聞きましたし、すごく共感できます。

 植田さん あとは、世の中のことを知るという点においては、僕は転職した人間なので、建築業界以外の業界も知っているというところは強みになりました。違う分野について広く知っておくということは、人と話す上ではプラスになっていて。会話の引き出しを作ることで、出会う人に合わせていろいろなお話ができるようになります。世の中の仕組みや多種多様な働き方を知っておくことで、お客様の生活を想像しやすくなります。そうするとご提案の質も変わってくる。

お客様に職業をお伺いしたときにも、多少でもその職業についてお話できれば、自分のことを知ってくれている、寄り添ってくれている、と感じていただけるのではないかと思います。雑談の中で僕がお客様に興味を持って前のめりでお話を伺うと、お客様がいろいろ教えてくださることも多いです。それはお客様だけでなく、異業種の方や普段接する協力業者の方と話すときも同じだと思います。

非常に共感できます。僕たちの仕事は、年間で50業種ぐらいの人と会いますからね。車屋さん、美容師さん、学校の先生、自衛隊の方など、本当にいろいろな職種の人と出会いますよね。私が毎月お話させていただく工務店のリーダーの皆様も、年代ギャップのある新入社員に対して、どのようなアドバイスをしていけば良いのかについてはよく悩まれておられます。その点について、20代の社員と触れ合うことの多い植田さんが心がけているアドバイスはございますか?

 植田さん 新入社員にフォーカスをするとしたら、どんな時でも壁を乗り越えていける人間になっておくというのは、非常に大事だなと。やはり転職する時って、すごいパワーが必要で。僕は当初、ものすごく楽観的で、転職は簡単なものだと思っていましたが、いざ転職したら、契約ゼロが続いて、という前述の経験があって。その時に苦しんだ経験があるので、そこはしっかり伝えてあげたいです。

そして人に合わせるということも大切で、それができれば信頼もしていただきやすい人になれると思います。さらに違う世界(住宅以外の世界)を知ることや世の中の仕組み、多種多様な働き方を知っておくことも会話の幅を広げるという意味では重要かなと。

万が一、仕事で失敗した時にその失敗を次に活かせるように育ててあげたい。また、広い視野を持てる人間に育ててあげることができたら、ステップアップもしやすいと思います。人生は長いので、そのスタッフの人生も含めてアドバイスしてあげたいですね。

モチベーションや成績が落ちた時も、自分と違った考え方や見方があることを知っていれば、とどまっている自分を客観的に見て、また復活できるし、登っていけるんじゃないかなと思います。

非常に貴重なお話を聞くことができました。ありがとうございました。

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