Executive Vision - Top Interview -

株式会社クリエイト礼文 大場友和氏

株式会社クリエイト礼文

代表取締役CEO

大場友和

おおば ともかず

Profile

1976年生まれ、山形県出身。
株式会社クリエイト礼文にてユニテハウスという建物ブランド、戸建てブランドを中心に、不動産の賃貸、売買事業を行う。
また、FC事業にユニテハウスで、箱型総二階の建物の商品や販売手法をパッケージにしたノウハウをフランチャイズ展開。加盟店は現在47社となり、年間約900棟の住宅を全国で提供。

この2年間で様々な社会変化があり、ビルダーの皆様の中には、常に答えを模索しながら日々営業や業務を行っている方もいらっしゃると思います。そこで、営業戦略の立て方やフレームワークを皆さんに共有し、さらに、住宅業界やビルダーの魅力をお伝えするため、私どもは【エグゼクティブビジョン】というメディアを立ち上げました。

今回第1回目として、山形県で13年連続No.1のトップビルダーで、代表取締役CEOである大場友和(おおば ともかず・株式会社クリエイト礼文)さんに、乃村(株式会社マイホム代表取締役CEO)からインタビューさせていただきました。

今回は中編です。

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様々な事業をされている中で、同業他社はたくさんいると思いますが、差別化となる御社の特徴を教えてください。

大場さん まず、地域ビルダーとして実践型でユニテハウスを販売しているフランチャイズ展開していますが、差別化としては、私たちは創業者の前会長が執筆した、『100年使える箱の家』がルーツになっています。そこには、家本来の幸せの生活を送ってもらえるという不易をQOLと呼んでいて、不易というのは簡単にいうと、ターゲットとしてのお客様の必要な設備と機能、支払っても良いコストの、貨幣価値のバランスです。なので、機能性とお支払いできるコストのバランスを合わせ持ったものを『良い家』と定義しています。その定義を、営業マンによってそれぞれということではなくて、6つのコンセプトとなぞらえて、これをしっかりと我々がターゲットのお客様に訴求しているか、仕組みとしてきちんと訴求できているかを意識しています。

ユニテハウス6つのコンセプト
https://unitehouse.jp/about/concept/

ユニークさが垣間見えるのが蔵王リゾート事業ですが、この蔵王という地は、御社にとっても思い入れのある地なのでしょうか?

大場さん 私たちは、地方都市に活動拠点を置いていて、地方が抱える問題の1つに、豊富な自然環境や観光資源がある一方、コロナもあり、観光事業が衰退しているということがあります。それに対して、地元企業として何ができるか?というと、本業以外の部分で、地域の観光を支え、また生み出し、モデリング事業を展開することで、地域に根ざしていければと考えたのです。
そのような経緯から、蔵王にカフェ事業を展開するようになりました。
施主やオーナー様が家を建てた後も、良質な休日を過ごしていただける場も提供したかった。
お引き渡しセレモニーを蔵王の高原で行うこともやりました。

私も一度お邪魔させていただきましたが、本当に軽井沢みたいな場所ですよね。

大場さん そうですね。これにも変遷があるのですが、最初にカフェ事業として一般のお客様から好評を得ていますが、はじめは、『縁ある人々を幸せにする』ということで、我々は20代から30代、世帯年収で3〜400万の人たちがメインのお客様ですので、その人たちに幸せで、無理なく返済していただけるというのがQOLの考え方としています。じゃあ、その人たちはディズニーランドや行楽、アクティビティにお金をたくさん使えるかというとやはり難しいのが現状です。そんな人たちが大切な家族や1番幸せにしたい子供が、休みの日に家にいるという環境では幸せではないのではないかということで、施主、OBが集える、遊べる施設を作りたかったというところが狙いでした。

もう一つは、一生に一度のお引き渡しというのは“エモーショナルでありたい”という想いがあります。私たちは、これからお客様に建物を引き渡しして、これからわたしたちビルダーとファミリーになるという一つのセレモニーは必要だと考えています。そしてそれは、必ずしも贅沢なものである必要はなく、私たちが今考えられる最強の環境として、特別なお客様をもてなす引き渡しセレモニーを、蔵王の自然の施設で行うことから始めました。しかし、一般の人も入れる施設だったため、一般の人たちで混みあってきてしまったり、コロナもあったりで今は一旦ストップしているのですが、できればこれを再開したいと思っている施策です。

すごい素敵ですね。
御社は会社規模も大きく、複数の事業を運営していく上で、どのようなことを意識されていますか?

大場さん これまでの前経営者は、会社が利益をもたらす、納税する、利益を資本、労働、経営の3分割をするということでずっと走っていました。しかし、三方よしにならないなということで、私の代では、5割は内部、2割5分を未来への投資、2割を社員還元、ステークホルダー還元、そして残り0.5分を地域貢献、社会貢献としました。やはり、われわれは住まいという分野に携わって、例外なく人々を幸せにすること、生まれ育った自分たちの地方都市と言われる環境に、地域貢献、社会貢献していくことが大事だと考えているからです。

面白いですね。このような切り口は初めて聞きました。御社が成長していく過程でどのようなご苦労がございましたか?

大場さん これまで、不動産会社が建築を始めたということだったので、まずは、売りっぱなし業者というレッテルから始まりまして、一時大変でした。

なるほど。不動産会社はそのように捉えられやすいですよね。

大場さん そうですね。その次に、ターゲティングやコンセプトを定めていったら、おかげさまで順調に売れ出しました。忘れもしませんが、棟数規模はどんどん増えていくにあたって、50棟ぐらいから100棟を目指す時に、社員のモチベーションやスキルやアフターの体制が追いつかなくなり、まず、社員がどんどん疲弊していく様子を目の当たりにしました。そして、100棟を超えると、ますます疲弊が加速し、離職が絶えませんでした。

この辺はどのように乗り越えていたのでしょうか?

大場さん 今、私が代表になってから限りなくやっているのは、売上至上主義から、先程のような、人軸経営に変えると決めて、実際に変えています。ここは、自分の中で大きいかなと思っています。『縁ある人々を幸せにする』という縁は、やはりお客様だけに捉えていた時代が長かったので、棟数を上げていくという売上至上主義の結果、社員は良い給料をもらえるのであったら、疲弊しても構わないという社内環境と経営者のマインドが正直ありました。そこに関して、根本的に私は経営理念である、人軸経営において、働いている人たちが主役かどうか、人中心の経営に変えました。棟数を伸ばしていきたい、売上をあげたいという必然性は変わらないのですが、それは社員やお客様にとって、本当に有益かどうか、幸せかどうかを価値基準として定めた人軸経営に変えたというのが大きな変化だと思っています。なので、自分の中で今肝に銘じているのは、仕事は金を稼ぐ手段ではなくて、縁ある人、この中にはもちろん社員とその家族も入っているわけですが、喜んでもらえる使命感を感じられるかどうかということに、とにかく主軸に置きながら経営を行っています。

おそらく、ここに関してはほとんどの方が悩んでいるところだと思いますが、多くの経営者が、棟数至上主義、売上至上主義でやった結果、棟数や売上が伸びなくなってしまったというジレンマの中にいて、ここは答えというより、考え方の気づきを欲しい方はたくさんいらっしゃるだろうと思います。

続いて、この業界に長くいることで感じている変化やそれに対する対応などがあれば教えてください。

大場さん 基本的にはお客様の家族を幸せにするという深層心理は変わりないと思いますが、国の国策などで住宅や自分たちの生きている環境の変化というのはだいぶ様変わりしているなと思います。

住宅事業を経営するにあたり、特に重要だと思われるところを教えてください。

大場さん 心の持ち方で言うと、例外なく人を幸せにするということです。その前に、単純に売る人が幸せでなければ絶対に人に幸せを届けられないという理念のもとに進めています。
ビルダーとしてで言うと、星の数ほどあるビルダーやハウスメーカーの商品に翻弄されず、自社商品の強みを明確にし、しっかりお伝えすることではないでしょうか。よい住宅を建築するためには、良いデザインやトレンド、流行の部分を追いがちですが、誰のために、何のために、なぜという問いを常に自分に出しています。ターゲティング、コンセプト、ニーズを明確にすることが大切だと考えています。
先義後利理と利の統合真理に対して従順か、この3つを大切にしています。

まさにですね。それは全部に通ずることですよね。

大場さん これはどちらかというと、商品開発で、戦略、戦術とアウトサイドインで、自分たちが利益を得るためにはということではなく、まずこれを念頭に置いて、経営でも戦略を立てる時にも非常に大切です。「先義後利」、「理と利の統合」が重要で、結局、理念は立派な会社はたくさんあると思うのですが、その商品やコンセプトが、その理念と一致しているかはものすごく大事だと思っていて。理念というのは、商品が売れる、売れないというところに通じるという意味では、商品が、戦略とか企業のお客様に対するサービス、考え方だと思います。これが一致していないところが結構多いなと。なので、僕は「先義後利」、「理と利の統合」、そして、「真理に対して従順か」という3つの考え方は常に通るようにしています。

すばらしいですね。「真理に対して従順である」ということについて詳しく教えてください。

大場さん 我々であれば、真理というのは、住宅業界で人を幸せにする、社員を幸せにするという深層心理、原理原則になると思います。しかし、ここから離れた意思決定を経営者がすると、葛藤の人生を生きることになると思うのです。葛藤というのは、お客様は幸せで自分の利益を得たけど、社員は不幸である、また、会社を経営したり、金儲けをするということは、決して悪いことではないですが、その行いが真理に対して、自分の意図するところなのかが、非常に自分の中では大事だと思っています。

まさに、「先義後利」と「理と利の統合」と「真理に対して従順」というのは、この3つがあれば、ほとんどの局面においての判断基準が明確になってきますよね。

大場さん そうですね。自分の価値基準をどこに置くかというのはものすごく大事だと思っていて。なので、真理に対して従順なので、極端な話をすると、社員で困っている人がいれば、社内ルールにないけど、意志決定することもありますね。

わかりました。次に、これまでの経営者として苦労されたエピソードを教えてください。

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