建築基準法の改正と省エネ基準適合義務化が2025年に!工務店が対応すべきことはコレ
INDEX
この記事では、住宅における「建築基準法の改正と省エネ基準適合義務化に向けてどんな対応をすればよいの?」「工務店側の対応や負担はあるのか気になる」という方に向けて以下の内容を解説します。
- 建築基準法の改正と省エネ基準適合義務化の内容
- 建築基準法の改正と省エネ基準適合義務化による工務店への影響
法改正によって自社でどんな影響・負担が生じるのか知らないままでいると、業務に支障をきたすことが懸念されます。スムーズな対応ができるように改正のポイントを解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
改正によって工務店の負担が増える
結論としては、新しい建築基準法の施行と省エネ基準適合義務化によって工務店の対応や事務的な負担が増えます。どの程度工務店の負担が増えるのかについては、後述します。最も懸念されるのはこれまでと比べて、必要な提出書類が増え、保存図書が増えることです。その対応を社内で行おうとすると、いままでより人件費が多くかかります。また、外注すると追加費用がかかる上に、引き渡しまでの納期に影響がでるため、工務店側の負担増は避けられないでしょう。
続いて、なぜこのような法整備がされるのか。その背景と新法の内容について解説します。
改正の背景について
法が見直される背景としては、国が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現及び2030年度温室効果ガス46%排出削減の目標が大きく関わっています。日本では、エネルギー消費量の約3割が住宅などの建物であるため、国が取り組みを急いでいるというわけです。また、木材需要の約4割を占める建築物分野での木材利用を促進し、吸収源対策の強化に寄与するとしています。
国の動きとしては2022年6月に「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」を公布。そして2025年4月から木造建築物に関連する改正が順次施行される予定です。改正される内容は多岐に及び、その目玉となるのが建築基準法及び建築物省エネ法の改正という位置付けです。今回は工務店にとって特に影響が多いとされる建築基準法と省エネ基準適合義務化の内容について解説します。
改正の内容について
続いて新法の内容について解説します。
建築基準法の改正内容
2025年からは4号特例が廃止され、住宅を含むほぼ全ての新築の建築確認・検査が必要となります。4号特例に該当する住宅とは、延べ面積500m2以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下の木造建物のことです。これまで4号特例にあたる住宅は、確認申請を提出する際は構造計算の提出は省略することができました。2025年からは4号建築物が廃止され、新2号・新3号建築物に分類されます。新2号建築物にあたる場合、審査省略制度の対象外となってしまいます。新2号・新3号建築物については以下のとおりです。
建物の種類 | 該当する建物 | 建築確認と検査 | 審査省略制度 |
---|---|---|---|
新2号建築物 | ・木造2階建て ・木造平屋建て(延べ床面積200m2超) | 全ての地域で必要 | 対象外 |
新3号建築物 | ・木造平屋建て(延べ床面積200m2以下) | 都市計画区域等内に建築する際に必要 | 対象内 |
新しい建築基準法が2025年に施行されると、建物を利用する側としては構造強度が担保されるため、安心できるメリットがあるでしょう。一方で、建物を施工する側からするとこれまでに必要のなかった図面の作成や関係図書の保存が求められ、手間と時間がかかります。コストアップは否めない他、着工から引き渡しまでの時間もこれまでより長くなると考えられます。
省エネ基準適合義務化の改正内容
省エネ基準適合義務化により、新築住宅に今より高い省エネ性が求められます。2025年4月以降に工事が始まるすべての新築住宅は以下2つの省エネ等級が4以上でなければいけません。
- 一次エネルギー消費量
- 外皮性能
※省エネ等級4を下回る住宅を新築できなくなります。
前述した背景から、これまで努力目標であった新築住宅の省エネ及び省エネ関連の図書提出が義務となります。2025年からは省エネ住宅がスタンダードになることで、消費者は今よりエネルギーコストが低い新築住宅に住めるようになります。一方で、住宅を建てる工務店は今より省エネ性の高い住宅を提供しなければならないため、建築コストが増えることでしょう。結果、消費者に今より高い価格で提供せざるを得ないため、両者にとってのコストアップとなることでしょう。
新建築基準法の施行と省エネ基準適合義務化による工務店への影響は?
新しい建築基準法の施行と省エネ基準適合義務化がはじまると、工務店にどのような影響がでるのでしょうか。ここでは主な影響を3つご紹介します。
1.提出書類や保存図書が増える
新しい建築基準法においては、前述したとおりこれまで提出が必要なかった一部の建築物においても構造計算の提出が必要です。加えて、省エネ基準適合義務化の影響から省エネ関連の図書提出が義務化されます。これにより提出書類が増え、施工後に保存しておく図書も増えることでしょう。これまでは行う必要がなかった図面作成と関係する事務的な手続きが工務店の負担となります。
また、選ばれる工務店になるためには手がける家の価値を高める取り組みが欠かせません。その取り組みの一つとして、壁量計算ではなく許容応力計算することがあげられます。許容応力計算を行うことで、将来的に既存不適格建築物になるリスクを回避できます。
2.対応費用が必要となる
工務店が対応を進めるにあたり、人件費アップはもはや避けられません。社内で対応する・外注するいずれの場合でも2025年からはコストアップとなるでしょう。省エネ関連図書と構造図を外注しようとすると、その費用は1棟あたりおおよそ40万円と予測できます。大手の不動産会社・建設会社であれば許容できるかもしれませんが、地域密着型の工務店にとってはコストアップが痛手となるのは間違いありません。2025年を迎える前に、新法の内容に目をとおし、対応の見通しをたてる必要があります。
3.着工から引き渡しまでの期間が今より長くなる
これまでは必要なかった手続きや図面作成、諸々の事務処理が加わることで、建物の着工から引き渡しまでの期間が今より長くなることが予想されます。図面作成等を外注すると、かかる日数は270日以上と考えられます。つまり、2025年からは今までより現金化までの道のりが長くなってしまうということです。建物の引き渡しまでは工務店にお金が入ってこないため、着工がはじまると一時的に負債をかかえることになります。言い換えると、工務店が負債をかかえている期間が長くなるともいえます。これまでとキャッシュフローが変わることを事前に知っていないと「仕事はあるのに今までより資金繰りが苦しい」となるかもしれません。
まとめ
2025年から予定されている建築基準法の改正と省エネ基準適合義務化について述べました。新法の施行は遠くない未来にせまっているため、工務店のオーナーは何らかの対応が必要です。また、きたる2030年にはZEHの義務化も控えています。今後も法律関係の情報はしっかり追っていき、取り残されないようにしていきましょう。
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