株式会社国分ハウジング
代表取締役CEO
久保範和
くぼ のりかず
Profile
国分ハウジンググループ代表の久保 範和(のりかず)。高校時代はラガーマンとして活躍し、志學館大学法学部へ進学。大学在学中に家づくりに目覚め、卒業前に住宅会社を設立。若手経営者として、柔軟な発想や選択・決断のスピードを武器に実績を積み上げ、2021年度には鹿児島県No.1である405棟を達成。鹿児島、宮崎で圧倒的No.1を目指し、完工棟数1,000棟を目標に邁進中。徹底的成果主義にこだわり、顧客満足に繋がる社員満足をモットーとしている。
営業戦略の立て方やフレームワークを皆さんに共有し、さらに、不動産業界やビルダーというものの魅力をお伝えするため、私どもは【エグゼクティブビジョン】という指針を掲げました。
そのビジョンを伝えるべく、代表取締役である久保範和(くぼのりかず・株式会社国分ハウジング)様に、乃村(株式会社マイホム代表取締役CEO)からインタビューさせていただきました。
久保様よりお聞きした、『ブランド住宅を作りたい』『社員を大切にするという事』を、前後編に分けてお届けいたします。
今回は後編です。
久保社長が経営において大切にされている考え方や軸を教えてください。
久保さん 1番は社員を大切にするという事ですね。
何か具体的なエピソードはありますか。
久保さん 私が代表になってからという言い方は良くないかもしれませんが、不動産だけでは、なかなか事業としては簡単ではなかったので、その時は年間休日が85日とか90日ほどしか取れない時代でした。良い意味で、住宅のほうにシフトして、生産性も上がっていったことと、私の思いとしての働き方改革も含めて、今では112日まで年間休日を増やすことができました。
以前は、不動産会社らしく、地元の会社らしく、社長が帰るまで帰れないという雰囲気があり、会社としては定時が18時ですが、19時では絶対にいないといけないと。社長がなかなか帰らないので。社長が19時くらいに帰ったら、そこからみんなバタバタ帰り出すという状況が嫌で、そういう環境良くないなというところがあったので、すぐに改善しました。今では18時30分までにはほぼ人がいないという状況までになっています。
わかりやすい意味での、休みを増やして、帰る時間も早くして、朝に関しても、社長より早く来ないといけない、役職者より早く来ないといけないなど、そういった雰囲気も嫌だったので、始業は9時ですが、8時半以降にしか出社できないルールを作りました。
社員を大切にするというのは、つまるところ、労働時間とプライベートの時間の分離ですよね。
久保さん そうですね。あとは、年末年始に関しては、完全に展示場も閉めて、今は必ずどれだけ少なくても8連休以上はとっています。多い部署で、この年末年始は11連休を取得していました。あとは、福利厚生について、物価高騰がすごいので、今今に始まったことではなく、去年の3〜4月から高騰の兆しが全体的にあったと思います。
その中で、世の中的には給料を上げるという雰囲気ではなかったですし、会社としても簡単に給料を上げるというのはできないので、でも、この高騰しているときに何かできないかと思い、社食では無いですが、昼ご飯食べ放題として、カップラーメンやカップスープ、ゼリーというものを無償提供することにしました。朝でも昼でも夕方でも、好きなときに好きなものを食べていいよという福利厚生を導入しました。
これは、物価高騰さることながら、お弁当を作らないといけない奥さんが助かりますよね。日々のことを考えると、昼食代ももちろんかかりますよね。では、貴社が成長していく過程で、どのような苦労がありましたか。
久保さん 比較的順調に来れたかなとは思います。
会社の中での課題や問題ではなく、個人的な心理などでも大丈夫です。
久保さん 私は事業意欲が強くて、会社を成長させるためということで、攻めて走ってきました。出展して、新たに人材をどんどん採用して、休みも増やして、福利厚生も良くして、給料に関しても、同業他社を徹底的に調べて。その中でも、歩合を含めた最高水準で設定していきました。
そうすることで、すごく成長してきたのですが、攻める事は得意な一方で、この会社以外で、私は社会経験がないので、他の会社の常識を全く知らないのです。弊社も組織ではなかったので、組織に属したことがなければ、ルールということも知らなかったために、そこの部分をすごくおろそかにしていました。社内のルール作りや組織づくり、内部統制、規定などですね。なんとなく、社労士を作ってもらった規定やルールがありますが、それを徹底しようという風土や文化がなく、どちらかというと、各々の店舗の店長にそこは任せている部分がありまして。要するに、社長として、あまり管理の徹底ができていませんでした。そこの部分があったことで、いろいろな問題や弊害が発生して、社内でももちろん不正なども見えてくるようになりました。
これはこのままじゃいけないなと、まだまだ成長していく上で、成長させていくのは、売り上げを上げていくことはできるけど、その統制を取れるのは、今のままではちょっとやばいな、いつか足元をすくわれてしまうなと思いました。それで、危機を感じたのが2021年の6月でした。 この時に、もうちょっと本気でやって、改善していこうと思いました。自分としても、その前から思ってはいた事はもちろんあったのですが、やはり信念がなかったんですね。
事業を伸ばしていく方にエネルギーが向いていたんですね。
久保さん そうですね。なので、信念を持たないとこれはやり切れないなと思って、自分の中でしっかりと軸と信念を持つために、正しい会社づくりということで、上場を目指そうと決意したのがこの時期でした。
長くこの業界におられると思いますが、この業界の感じている変化だったり、それに対する対応などを教えてください。
久保さん 圧倒的に集客ですね。来られるお客様が本当に少なくなってきたなと。世の中の変化として、情報収集が非常にたやすくなったというところと、新型コロナというところで、あまり外に出回っていろいろな会社に行って収集するということが非常に難しくなったというところも相まって、明らかに決め打ちで来ている、とりあえず住宅会社に行って情報を仕入れるというより、TikTokやInstagramの住宅型インフルエンサーのライブ動画を見て、情報を集めて、ホームページを見て、その会社のInstagramを見て、TikTokを見て情報を見て、決め打ちで行っているなという感覚が、今まさしく、集客を大きく減らしている要因になっていると思います。
SNS系のところは強化していたりしますか。
久保さん そうですね。自社でインスタやTikTokでのルームツアーを、建てられたお客様やモデルハウスで実施して、毎週金曜日に全ブランド投稿するようにしています。弊社がやっている今面白い取り組みは、弊社の社員も200人いるので、朝の朝礼の時に、視聴する、いいねを押す、コメントをする時間を設けています。自社でアップしたルームツアーを今からみんなで見ましょうと。
自社の人間がまずそれに触れて欲しいですよね。
久保さん そうですね。アルゴリズム的にも、そこで見て、いいねがつけば、おすすめ動画に載りやすくなるので、そこを目的として行っています。朝一会議というより、朝礼ですね。
次に、住宅事業を経営するにあたり、特に重要だと思う点はありますか。
久保さん やはり人材ですかね。
という事は、採用ということですね。
久保さん それ以前に来るのはマーケティングで。この地域で何の商品を誰に向けて打ち出すのかというところでしょうけど、それが前提であるとすれば、次は人かなと。
先ほども出ていましたが、御社独自の文化や制度があれば教えてください。先ほどおっしゃっていた年間休日だったり、この辺が特徴的な文化ですかね?
久保さん ありがたいことに、これだけ成長して売り上げが伸びていて、すごく人が重要になってくると思います。弊社はリファラル採用が非常に多く、今社員が190名いる中で、約30%はリファラルとなっています。新卒率よりも、リファラル率の方が高いです。
でも、それは文化が良いということですよね。
久保さん 前の会社や友人から、弊社の良さを日ごろから伝えてくれているんですよね。その中で、弊社に行きたいという人がいるんだけど、紹介していいですか?という形で話をいただいて、面接をして、入社していただくということが非常に多いので。
それは住宅会社ですごいですね。そもそも働いている人が良い環境だと思っていないと、リファラルしないですからね。
久保さん 本当に残業をせず、18時半以降は人がいなくなるので。それはすごく良い文化かなと思います。ちゃんと帰るので。そこは、転職されてきて、本当に皆さんびっくりされますね。
次に、久保社長が現在最も注力されていることを教えてください。
久保さん 組織づくりですね。
それが今最重要課題ですね。
久保さん そうですね。
1番時間もかかりますしね。
久保さん そうですね。そこは時間をかけながら丁寧に、大事に取り組んでいきながら、じっくりやらなければいけないところかなと思っています。
社員が200名くらいの大所帯になってくると、そうなりますよね。
久保さん 今から力を入れようと思っているのは、会社の理念と、私の創業から今までやってきたところの想いと考え方というところをしっかりと継承していく時間を作っていかないといけないなと思っています。そこで、社員と向き合う時間を今から作っていきます。
最後に、好きな本があれば1冊を教えてください。
久保さん WBCの白井ヘッドコーチの本で、『北海道日本ハムファイターズ流 一流の組織であり続ける3つの原則』です。WBCの期間なので、白井さんの本をあげたのですが、これを書いた時は、日ハムの時の話なのですが、その時の監督も、WBCと同じ栗山監督だったんですね。栗山監督と白井ヘッドコーチが日本ハムファイターズメンバーと一緒に優勝に導いたというストーリーなのですが、今回のWBCも非常に熱かったじゃないですか。
1番のエピソードは村上選手だと思うんですよね。打てずに、最後の、準決勝、決勝というところで、しっかり結果を出したということで、この本に書いてあるのも、選手を信じることだと書いてあるんですね。対外監督、経営者ということで、結果が出ないというところは、その選手やスタッフ、社員のせいにしがちだと。でも、そもそもコーチや監督の成功は、選手が成功すること、結果を出すことで、それが自分たち監督やコーチの最高だよねと。結果が出せないのは、そもそも自分たちのせいだと、実績をしっかり持ちながら、自分自身を見直して環境改善していくことが大事で、そうしてきたということが書いてあって。
最後の部分に関しては、選手は本当に信じ切ろうと。その先に結果が見えてくるということで、本当に今回のWBCは、栗山監督も、村上を信じきって、いつか結果を出す、いつか打つだろうということで、最後の最後に大チャンスのところで、代打を選択するのではなくて、村上に行けと、お前ならできるということで、そこで背中を押して送り出したと思うんですね。それが、最終的にああいう結果に良い形で結びついて。この本は2017年の本なんですけど、そのことが書いてあるので、ぜひ、読んで欲しいなと思います。
ありがとうございます。
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