お客様との時間を楽しむ(前編)|愛岐木材住建株式会社 中島孝弘氏
岐阜県 愛岐木材住建様の営業トップを走り続ける中島孝弘(なかしま たかひろ・愛岐木材住建株式会社)さんに、営業として意識していることや、接客中に大切にしていることや、お客様の本音を引き出すコツ、そして、トップセールスマンになるためのアドバイスなどをインタビューさせていただきました。
中島さんよりお聞きした、『仕組みで売る』『お客様との時間を楽しむ』を、前後編に分けてお届けいたします。
今回は前編です。
他の【トップセールスと語る】インタビューシリーズはこちらです。
仕組みで売る
お名前と貴社の正式名称をお願いいたします。
中島さん 中島孝弘、愛岐木材住建です。
貴社の商圏は岐阜がメインでしょうか?
中島さん そうですね。岐阜県東濃エリア、多治見市や土岐市などのエリアです。
土岐市は伝統工芸で有名だったりしますね。きれいな陶器のイメージです。では、基本的にはこのエリアを商圏としていらっしゃるのですね。
中島さん そうですね。お茶碗などの陶器の街ですね。
営業先も多治見市や土岐市以外にはありますか?
中島さん 細かくいうと、多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市というエリアになります。
その中で、メインは多治見市と土岐市ということですね。御社に入られていて、何年目でしょうか?
中島さん 9年ほどになると思います。
今ご年齢はおいくつですか?
中島さん 43歳ですね。昭和54年生まれです。
ということは、中途入社でいらっしゃるんですね。以前も注文住宅を販売されていたのでしょうか?
中島さん そうですね。もともと、他社で同じようなことをやっていました。
では、社会人経験としては、20年ぐらいずっと注文をされていらっしゃるということですね。本当にベテランでいらっしゃるんですね。
中島さん そうですね。それぐらいになりますね。
年間15棟受注できる秘訣は何ですか?
中島さん おそらく、会社の仕組みがよいのだと思います。
貴社は、不動産などもやっていらっしゃいますが、今担当されていらっしゃるのは注文だけでしょうか?
中島さん そうですね。基本的な販売は、建築条件付きの分譲地をまず作って、気に入った人に対しての建物の提案という形なので、土地を売って、建物もお願いしますというフローですね。
売建ということでしょうか?
中島さん はい。簡単にいうと、売建ですね。
売建が中心でしょうか?建売はされていらっしゃらないのでしょうか?
中島さん そうですね。建売は年に1回、2回ぐらいですね。
貴社のイメージとしては、売建や注文がメインのイメージがあるのですが、建売もされていらっしゃるんですね。
中島さん 年に2回くらいやるのですが、本当にたまにです。
それも中島様が販売されるのでしょうか?
中島さん プランニングをして、というフローにはなっています。誰か売れる人が売るという感じです。
建売であれば、売れるのが早かったりしますか?土地による感じでしょうか?
中島さん そうですね。土地によるのと、エリア的には注文住宅が多いエリアになるので、注文住宅だとめんどくさいなという方だと建売になります。
直近で15棟以上販売されていらっしゃるという話を伺ったのですが、何年目くらいからこの棟数を売れるようになったのでしょうか?
中島さん もともと他社でやっていて、こちらに来てから1年目くらいには、棟数でいえば、二十何棟くらいでしたね。ただ、会社によってはいろいろやり方が違いますし、会社の仕組みとして売りやすいというのはありますね。
すごいですね。それは、以前の会社でもそれぐらい売っていらっしゃったのでしょうか?
中島さん 前の時は12棟ぐらいでしたが、ただ土地がないので、土地探しから一緒に手伝うという形で、利益に対しても厳しいところでした。なかなかお客様と思っている価格帯に合わないけど、「良い土地を見つけてきてくれたし、やります」という感覚がありました。アイモクに来たら、まず土地が気にいれば、当然僕らに依頼が来ますし、価格的にもお値打ちだったので、売りやすいということはありましたね。
なるほど。では、前の会社はおうち自体のお値段は高かったのでしょうか?
中島さん そうですね。品質がそんなに良くなくて高いという感じでしたね。
それでも12棟売っているのはすごいなと思います。
中島さん その時はその時で、土地から探す人がほとんどだったので、土地をなんとか探さなきゃいけないというところで、やり方を自分なりに色々と模索していました。不動産屋さんと仲良くなったり、不動産屋さんをめぐっていろいろピックアップして、土地の提案をして…。アイモクだと、そのフローが省かれているので、いい土地を抑えて自社販売をしているので、その辺は弊社の強みだと思いますね。
このような話はよく聞くのですが、“土地を抑えると勝てる”という話はありますよね。
中島さん 結局それだと思います。建物を売っているというか、土地を売っているという感じだと思います。
どちらかというと、不動産という感じですよね。
中島さん なので、楽はしていますよ(笑)
それでも、誰でも売れる数ではないと思います。
中島さん 本当に、会社の仕組みですね。入社してすぐの新人でも、すぐに販売できてしまうので。会社の仕組みや体制づくりがそのようになっていて、売りやすいところはあります。
素晴らしいです。その中で、仕組みがあるとは言え、中島様みたいに売れる人と、そこそこの人が出てくると思いますが、営業として、お客様に対してや数字管理など、意識していることを教えてください。
中島さん 楽しく話ができればいいかなとは思っています。
楽しく話ができれば良いというのは、実はいろいろなポイントがあると思います。年齢や性別、お子様の有無など、話ができる環境づくりとして、意識されているところがあると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
中島さん それこそ、昔はお子様への対応としては、ご夫婦と話しているけど、子供にも気を回すように話していましたね。やはり、ご夫婦にとって、お子様は間違いなく可愛いので、「この人は気が回るな」と思っていただけるかなと。なので、お子様に気に入られれば、建ててもらうお客様にも気に入ってもらえるかなという感じではやっていましたね。
そういう方が担当だと安心しますよね。商談の時に、ご夫婦がいて、お子様がいて、お話し中に泣いてしまったり、ウロウロしてしまったり、その辺では何か工夫がされていましたか?
中島さん つまらなそうにしていたら、声をかけてあげたり、危ないようなことがあれば、気を回してあげたり…。それぐらいで、特別なことは全然していないですね。
その中で、初回来店の際にはまず何をされていらっしゃいますか?
中島さん どういう感じで来られるのかによっても全然違ってくるのですが、今までは土地の問い合わせで来ていただいた方が多く、当然、土地が気になる方には、この土地だったらどういう建物が建って、金額がどれくらいで、ということが1番気になると思いますので、その辺を初回の打ち合わせの時に、建物の要望のヒアリングをしていて、その場でプランニングをして、今思っている建物がどういう感じなのかイメージを確認します。「この土地にこの建物を建てるとこれぐらいになりますよ」と、いきなりそこでプランと金額を提案する形ですね。
非常に早いですね。
中島さん その辺は早いと思います。
ということは、基本的には打ち合わせの回数は4~5回と言われていますが、土地から入る場合は、商談回数は少ないのでしょうか?
中島さん そうですね。買うという意思を示してもらうまでは、早いと思います。結局、他者様は営業という形だと思うので、基本は営業だけでお金のことなどは話されないと思います。しかし、僕らは営業とプランニング、間取りづくりも一緒にするので、第1回目の提案で要望を聞きながら、その場でプランニングをしていけるので、早いとは思います。
お客様からすると、営業を受けているというよりは、一緒にプランニングまで自然に入っていく形になりますね。
中島さん そうだとは思います。
プランニングや間取りづくりを一緒にしていて、ヒアリングをより深くできたり、関係性が構築できたり、営業だけをするよりも良かったところや、中島様が考えられる、このやり方でのメリットはありますか?
中島さん まず、スピード感がありますので、お客様の中には驚かれる方もいらっしゃいます。例えば、ハウスメーカーさんだと、まず1回目のところでヒアリングをして、次にプランを作って、そのプランに対して、ここが気に入らないと直して、と3回、4回かかるところが1回目で決まりつつ、ソフトを使って、簡単に内外観のイメージを伝えられるので、おぉ!となる人はいらっしゃいますね。
すごいですね。内外観パースもそこで作ってしまうんですね。
中島さん そうですね。
お話しながら作るという感じなんですね。そうすると、パースが作れないとダメなんですね。
中島さん 今は便利なソフトがたくさんあるので、それを使っているだけです(笑)ボタン1つでできてしまうので。
パターンがあるのでしょうか?
中島さん そうですね。本当にプランニングソフトは良いものがあるので、それを使ってやっています。
大手さんだと人をたくさん抱えられているので、専任の方がいらっしゃるのですが…。
中島さん 確かに、営業職、設計職、コーディネーターといらっしゃいますけど、弊社は、小さいが言えというのもありますが、基本的に1人でやるので、お客様との関係を作りやすいというところもありますね。お客様にとってみたら、人が変わっていくと、関係性もいちから作らなきゃいけないので…。
そうですね。どんな人かわからないですよね。
中島さん そうですね。それを一貫して、窓口は僕や営業という形になるので、イメージの共有がしやすいというところもあると思います。
お話を聞いていて、受注率が高いと思うのですが、いかがでしょうか?
中島さん そんなことはないと思いますよ(笑)
でも、5件に1件は決まっていらっしゃいますよね?
中島さん 会社自体はもっと高いと思いますよ。受注率は、会社として考えるとすごく高いと思います。
3割ぐらいは受注されているイメージでしょうか?
中島さん いっているのではと思います。土地のパワーは大きいですね。エリア的にいうと、非常に分譲がしにくいエリアというところもあります。山間で、川もあり、平坦なところがなかなか少ないので、他の建築会社さんもなかなかやりづらい、分譲しにくいような土地ですが、それは昔からずっとやってきた強みもあり、不動産屋さんとのつながりもあって、良い物件を紹介していただいています。
プランニングや内外観パースまで1人でやられていらっしゃいますが、その知識を増やすためにこの9年間でやってきたことはありますか?
中島さん いろいろなお客様と面談する機会も多いのですが、最近はお客様の方がどうしても知識がある方が多いので、今こういう感じなんだとか、こういうのがウケるんだとか、それで一緒に学んできたというところはあるかもしれないです。
Instagramとかもすごいですからね。ヒアリングをされるということですね。
中島さん そうですね。一緒にパースを作りながらやっていくので、お客様もイメージを伝えるために、スマートフォンを取り出して、「こんな感じのイメージです」とか言ってくれやすいです。同じものをパースで見ているので、こういう洗面台がいいんだとか、最近だとキッチンを下り天井にしたり、天井でいろいろ高低差を作ったり、素材感なども今の流行を一緒に学んでいっている感じですね。
そこで見て、後で調べるという感じでしょうか?
中島さん そうですね。あとは、「この人、前の人と同じことを言っているな」ということもあります。
そうすると、最近はこれが流行のキッチンの形だとかわかってくるのですね。
中島さん そうですね。
1回目の商談の後、次回の商談では具体的な予算などを話していくのでしょうか?
中島さん そうですね。臨機応変にはなってしまいますが、1回目に提案して、感覚的に、この土地でもっと話を詰めたいとなれば、「宿題をいただいて、プランをもう少し修正したものを次までに考えておきます」と言ったり、金額的なところをいろいろ詰めたいとなれば、「金額的にもう少し抑えられる提案を準備しておきます」とお伝えします。ローンの事前審査をされたことがない方も多いので、「事前審査をしてみましょうか?」という提案もしますね。
他社さんもそういう形で進んでいらっしゃると思いますが、例えば、すごくクイックレスポンスだったり、わかりやすい資料をデジタルでお送りしたり、電話ですぐお伝えしたりなど、1回目の商談をし終わった後に、次につながるために特に意識している点や工夫されている点はありますか?
中島さん 基本的には、その場で約束をとらないと次が難しくなってしまうので、仮押さえでもしてもらうという形にはしますね。たまに、「どうしても都合が悪くなってしまったのでごめんなさい」となれば、もうダメだなと…。
温度感が低いということですからね。次に、家を買う上でポイントとして、予算やご夫婦の家に対する考え方、土地、家族構成など、いろいろな要素があると思いますが、重視するポイントの優先順位の聞き出し方で意識されていることはありますか?
中島さん 最近は予算感ですね。前に研修に行った時に、今の時代はまず予算感を聞いたほうがいいと言っていたので、確かにそうだなと思ったので、その辺は確認しますね。
いきなり「ご予算はいくらですか?」と聞かないと思いますが、予算感はどのように確認されますか?
中島さん 許容できる範囲がいくらぐらいなのか、というところは聞かないとなので…。例えば、土地が気に入ったと言って、気に入った土地でプランニングをして、それが5000万円となっても、「実は3500万円で考えていました」となってしまうと、全然無理な話になってしまうので、予算感は探って確認しますね。3500万円と言っている人に対しては、4000万円ぐらいで決められるようにプランニングしていかなきゃいけないとは思いますね。少しでも手が届きそうだなとイメージを持ってもらえるような感じにしたほうがいいかなとは思っています。
それは初回の商談でそこまでやってしまうということでしょうか?
中島さん そうですね。
予算感を聞いた後は?
中島さん 「その建物に対する思いはありますか?」とか、「これが欲しい、あれが欲しいというのはありますか?」と聞きながら、その場でプランニングしていく感じですね。
どちらかというと、それは内観、外観の話ですかね?
中島さん そうですね。全体的にですね。最近だと、LDKが何畳くらい欲しいのか、1階に畳の部屋がもう1部屋欲しいのか、などですね。2階の部屋とベランダがいらない人もいるので…。
そのようですね。箱みたいなお家で、ベランダがいらない人はいますよね。
中島さん そうですね。それはInstagramやSNSの影響で、最近はベランダがいらない、お風呂の窓がいらないなど、確かにそうだねと考えることが結構広がっているので、そういったことも確認しています。あとは、ものが高いので、削れるものは削っていかないと、家が建たないので…。